炎のゴブレット
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「まさか家からアニメーガスが出るなんて思ってもいなかったよ。とても喜ばしいことだ。
それにしてもどうしてアニメーガスになれたことを早く教えてくれなかったんだい」
フォーラの父シェードが彼女に尋ねた。フォーラは少し考えた後で「きちんと自分のものに出来てから、お話したくて・・・」と濁した。
夏休みになったばかりのある日、フォーラは家のリビングルームで両親とアニメーガスのことについて話していた。前年度彼女はアニメーガス(動物に変身できる魔法使い)になることができた。そして学期の終わりにフォーラはダンブルドア校長から正式なアニメーガスとして登録するため、魔法省に行くよう言われていた。
フォーラが言った。
「ウィーズリーさんのお家にお邪魔することになったのも、・・あの時は覚えていなかったのだけれど、勝手に猫に変身して、そのままマグルの保健所行きの馬車に、乗せられてしまったからなの。」
「そういうわけだったのか。納得だ。
ところでウィーズリーさんへの御礼の件だが、あの薬はダメだったようだね。申し訳ないことをしたよ。ジョージ君は大丈夫だったのかね。酷く苦しんだことをフォーラが後になって聞いたと、手紙に書いてくれていたけれど」
フォーラは父親に手紙で例の魔法薬の効果について文句の手紙を送った際、ジョージにされた事実については伏せた内容を伝えていた。
そしてフォーラは父親の言葉によって、ジョージが薬のせいでおかしくなってしまった時のことを思い出した。
あの時は確か彼にキスされそうになった。しかし不可抗力だった。思い出すだけで恥ずかしさがやって来る。
そして何故かフォーラはこの間の帰りの汽車でキングズ・クロス駅に着いた時にジョージに言われた事も思い出していた。
『・・・君の、間に受けてしまうところが好きだって言っただろ。
あの時はlikeって言ったけど、本当はloveだったらどうする?』
・・・いや、あれは彼の冗談だったに違いない。陽気な彼がこんな引っ込み思案な自分に、そんなことがある筈がないのだ。そもそも仮にそうだったとしてどうすればいい?
(こんなこと考えている自分がバカみたい。自意識過剰よ・・・。あり得ないことを悩む必要なんて、ないわ。