番外編

□突然の二人きり
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雪の降りしきる休日のこの日、フォーラは皆がホグズミードに行く中一人で図書館に向かって歩いていた。

(ドラコもパンジーもルニーも、大丈夫かしら・・・)

フォーラの友人達は皆、残念ながら現在医務室でベッドに寝かされていた。この頃流行りの厄介な風邪に見舞われたのだ。その為今回彼女はホグズミードへ行くことを諦めたのだった。


一方、別の廊下ではロンが溜息を吐いてこれから何をしようか時間を持て余していた。

(ハリーもハーマイオニーも、今日熱を出すのはタイミングが悪すぎるよ)

彼の友人二人も医務室で患者の役目を果たしているようだった。今朝から二人とも体調が悪いらしく、揃って医務室に行ってしまった。最近は医務室に行かざるを得ない生徒が多く、マダムもてんやわんやだ。

ロンはフレッドとジョージと共に出かけるのもありだとは思っていたが、どうやら彼らは計画中の悪巧みにホグズミードで必要な物を買い溜めするようだった。そのため確実に荷物持ちになる事を恐れ、ロンは彼らに同行しなかった。

そして彼は直ぐにでもその判断が正しかった事を思い知らされた。

「あら・・・、ロン?」

「えっ」

ちょうど別の廊下と合流したところで彼を呼ぶ声が聞こえた。

「あ・・・、フォーラ!
ど、どうしたんだい?こんなとこで」

そこに居たのは彼の想い人その人だったのだ。ロンは突然のことに半ばパニックになりかけながらも彼女の元へ駆け寄った。

「ロン、ホグズミードには行かないの?」

「そうだけど・・・もしかしてフォーラもかい?」

彼女は少し残念そうに頷いた。

「そうなの、私の友人たちは、皆医務室にいるの。今、風邪が流行っているでしょう?
だから、こうして城の中を歩いているのだけれど・・・、さっきから、行こうとする場所が何故か通行止めで通れなくて。それで、今ここに辿り着いた、というわけなの。」

奇妙な話だと思ったがロンはその偶然に感謝した。こんなところでばったり彼女に会えたのだから。

「そうだったんだ。
・・実は僕もフォーラと同じで、ハリーとハーマイオニーが熱を出して医務室に行ったんだ。
だから一人ってわけ」

「まあ、そうなの?

皆、早く元気になるといいな・・・。」

「ウン、ホントに」

ロンは彼女にその様な返事を返しつつ、頭の中でこれはもしかしたらチャンスなのではないか、と考えていた。フォーラと何時も一緒にいるグリフィンドール嫌いの友人達は今はいない。それに自分の友人二人もいない。ついでに言うならばフレッドやジョージ、自分のクラスメイトすら、今この廊下にはいなかった。

ロンは自分の考えの行き着く先まで行き着いた時、妙な緊張が自分を襲ってきていることに気づいた。
思わずゴクリと唾をのむ。

「・・・?ロン?」

様子がおかしいと思ったのか、フォーラがロンに声をかける。するとロンは目を泳がせた後、フォーラをチラと見て赤くなりながらまくし立てた。

「もし!もしの話だけど、フォーラがもしも今暇だって言うならーーー僕も暇してたトコだったし、よかったらーーーえーとーーー

ーーーもしも、僕がホグズミードに一緒に行かないかって言ったらーーー君、どうする?」

伺うようにもう一度フォーラを見やれば、彼女は少し驚いた様な表情でロンを見つめていた。そんな彼女を見て瞬間的にマズイと思ったのか、ロンは慌てて訂正した。
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