番外編
□誕生日おめでとう
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「「誕生日、おめでとう!!」」
休日。朝起きてくると、パンジーとルニーは開口一番にフォーラにそう言ってきた。フォーラは今日が自分の誕生日である事なんてすっかり忘れていたのでとても驚いていた。
「あ、ありがとう!言われるまで、忘れていたわ・・・」
「もう、フォーラの事だからそうだろうと思ったわ。はい、これ誕生日プレゼントよ!」
ルニーとパンジーからそれぞれプレゼントを差し出され、フォーラは少し恥ずかしそうな、嬉しそうな顔で「ありがとう」と返したのだった。
その頃ドラコは談話室におりる準備をしていた。少しドキドキしながら。
(フォーラ、プレゼント喜んでくれるといいな。ずっとどれにしようか悩んで、やっと決めたんだ。喜んでくれるに決まって・・・ええと・・どうだろうな・・・いや、大丈夫だ。フォーラは喜んでくれるはずだ)
少し不安だったが、ドラコはプレゼントを片手に、意を決して寝室を出た。
「フォーラ!」
談話室に降りてくるなりドラコは彼女の名前を読んだ。
「ドラコ、おはよう」
笑顔でそう言った彼女に少しドキドキしつつ、ドラコは目を逸らし、手にもっていたプレゼントを彼女に差し出した。
「誕生日、おめでとう。」
ドラコがちらりと彼女を見やれば、フォーラは差し出されたそれを受け取ると、ドラコを見て、包みを見て、またドラコを見てから微笑んだ。
「な、なんだよ」
少し照れたようにそう言えば、フォーラから返ってきたのはお礼の言葉と嬉しそうな笑顔だった。
「ううん、なんでもないの。・・・私、すっかり自分の誕生日のこと忘れていたから・・・ありがとう。すっごく嬉しいわ!」
幸せそうな彼女の笑顔にドラコは少しだけ赤くなると、ふいっと向こうを向いて「あ、ああ。いいんだ」とにやけそうになる口元を抑えてそう言ったのだった。
「ね、私たちのプレゼント、順番に開けてみて!」
パンジーがそういうものだから、フォーラは頷いて包みを丁寧に開けていった。
パンジーとルニーから貰ったプレゼントを開け終え二人にお礼をもう一度言った後で、最後にドラコのプレゼントを開けた。
「これは・・すごく美味しそうなチョコレートね!何だかちょっと高そう」
箱の中にはころっとしたチョコレートが綺麗に装飾されて並んでいた。一つ一つ形が違う。
「一度以前口にしてからこれが凄く好きになって、フォーラにも一度食べて欲しかったんだ。」
「そうだったの・・。ドラコ、ありがとう。」
フォーラがまた微笑んでそう言うものだから、突然だったのもあり、ドラコは「あ、ああ」と控えめに返事を返した。
(今、多分・・僕の顔、赤い、よな)
「じゃあ、折角だし、昼過ぎに、皆で食べましょうか。いいかしら・・?」
「ああ、もちろん」