秘密の部屋

□change
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ハーマイオニーのポリジュース薬完成に向けた作戦第一号は、大広間を去ったフォーラとはすれ違いで行われた。
ハリーとロンは作戦自体に不安を隠せなかったが、結果大成功だった事に驚嘆するしかなかった。
クリスマスの午後のお茶の後、ハリーとロンは二人で誰もいなくなった玄関ホールに隠れ、クラッブとゴイルを待ち伏せした。スリザリンのテーブルにたった二人残ったクラッブとゴイルがデザートをたいらげてる間、ハリーはチョコレートケーキを階段の手摺りの端にちょんと載せておいたのだ。
その後大広間から目当ての二人が出て来たので、ハリーたちが隠れてそれを見ていると、案の定クラッブたちはケーキを食べて、彼らはその場に仰向けにパタンと床に倒れてしまったのだった。
なんとか二人をホールの反対側の物置に安全にしまい込んだ後、ハリーはゴイルの毛を、ロンはクラッブの毛をそれぞれ数本引き抜き、二人の靴も失敬した。
自分たちが事をやり遂げたことがまだ信じられないまま、ハリーたちがマートルのトイレまで駆けて戻ると、ハーマイオニーが大鍋を掻き交ぜている小部屋からもくもくと黒い煙りが立ち昇っていたので何も見えなかった。

「ハーマイオニー?」

小部屋の戸をそっと叩いてそう聞くと、閂がはずれる音がした。ハーマイオニーが顔を輝かせ、待ちきれない様子で現たその後ろで、どろりと水飴状になった煎じ薬がグツグツ、ゴボゴボ泡立つ音が聞こえた。そしてトイレの便座にはタンブラー・グラスが三つ用意されていた。

「取れた?」

ハーマイオニーが息を弾ませて聞くので、ハリーはゴイルの髪の毛を見せた。

「結構。わたしの方は、洗濯物置場から着替え用のローブを二着、こっそり調達しといたわ。クラッブとゴイルになった時、サイズの大きいのが必要でしょ」

三人は大鍋をじっと見つめた。近くで見ると、煎じ薬はどろりとした黒っぽい泥のようで、ボコッボコッと鈍く泡立っている。

「すべて、まちがいなくやったと思うわ。
見た目もこの本に書いてある通りだし……。これを飲むと、また自分の姿に戻るまできっかり一時間よ」

ハーマイオニーはしみだらけの「最も強力な魔法薬」のページを、神経質に読み返しながらそう言った。

「次は何だい」

ロンが囁くように尋ねた。

「薬を三杯に分けて、髪の毛をそれぞれ薬に加えるの」

ハーマイオニーが杓でそれぞれのグラスに、どろりとした薬をたっぷり入れた。それから小鬢に入ったフォーラの髪を自分のグラスに落し入れた。
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