秘密の部屋

□merry merry...
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「「フォーラ!」」

フォーラが熱を出した翌日のクリスマス・イブの朝、彼女とドラコが朝食を摂りに大広間に着くやいなや、グリフィンドールのテーブルから駆けてくる双子にフォーラは呼び止められたのだった。

「おい、お前達朝から何の用だ」

ドラコが怪訝な顔で双子にそう言えば、彼等は「お前は呼んでないだろ」とドラコを流し、すぐにフォーラに向き直った。

「フォーラ、君、昨日雪合戦の後に熱でも出してたんじゃないのか?」

フレッドの質問に、彼女は昨日自分が大広間で体調を崩してドラコと退席したことを思い出した。きっと彼らは自分のことを心配して駆けつけてくれたのだろう。わざわざ尋ねなくとも二人の表情からそのことを十分に読み解くことが出来て、フォーラは感謝の気持ちで一杯だった。一方で彼女の隣に立つドラコは、その間双子へのしかめっ面を一時も絶やすことがなかった。

「確かに熱は出てしまったけれど、もうすっかり元気になったのよ。」

フォーラが体調の回復をアピールするようにしてフレッドの質問に答えたが、双子は不安げに顔を見合わせたのだった。

「俺達が君を雪合戦に誘ったから、熱なんか出したんだ。ごめん」

ジョージの謝罪にフォーラは急いで頭を振り、二人のせいではないと彼等を宥めた。

「私、雪合戦はしてみたいと思っていたし、実際楽しかったもの。誘ってもらえて、とっても嬉しかったのよ。
それに、熱が出たのはいずれにせよ体調管理が出来ていない自分のせいだもの。だから、そんなこと言わないで。」

「ああ、分かった。そこまで言われたらこれ以上謝るのはよした方が良さそうだ。
ありがとう。元気になって良かったな」

ジョージがそう言ってフォーラに微笑むと、彼女は頷いて優しい笑顔を返したのだった。

「実は昨日謝ろうと思って、俺達夕方に医務室へ行ったんだ。けど、フォーラがいなくてどうしてたか心配してたんだ」

フレッドが昨日謝れなかった理由を言うと、フォーラはそれは悪いことをしたと謝った。

「わざわざ来てくれたのね、ありがとう……。
昨日は、ずっとドラコが寮で看病してくれていたの。」

ね、とドラコを振り返ってそう言えば、彼は「ああ」と返事を返して双子を睨み、スリザリンのテーブルへ向かって行ってしまったのだった。

「え、君、昨日ずっとあいつに?
だけど、医務室にも行かずに薬はどうしたんだ?」

ジョージの質問に、フォーラは昨日のことを話して聞かせた。

「雪合戦の後、スネイプ先生に偶然会って……。それで、お薬を頂いていたの。まるで私が体調を崩すことをお見通しみたいだった。その後本当に熱を出してしまったから、ちょっぴり悔しかったわ。」

「そうだったのか。スネイプにそんなお優しい一面があったとは驚いた。フォーラはきっと奴のお気に入りなんだな。
まあどちらにせよ、元気な顔が見れて安心したよ」

フレッドがそう言うと、彼女はにこりと笑って御礼を言った。

「ええ、本当にありがとう。」
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