秘密の部屋

□cold remedy
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フォーラはスネイプと別れた後、スリザリン寮へ入った。暖かい空気がそこにはあり、暖炉の火がパチパチと爆ぜている。
そのすぐ傍のソファで、彼女を待っていたドラコが一人で座っていたのにはフォーラは驚くしかなかった。

「ドラコ、ただいま……」

こちらに気付いた彼はため息を付き「遅いぞ」と一言発した。フォーラはドラコに歩み寄りながら尋ねた。

「もしかして、お昼……まだ食べてないの?」

「ああ。
そんな事はいいから、さっさとその濡れた服を着替えてこい」

どこと無く素っ気ない様子でそう促されると、罪悪感がちくりと胸を射した。

「ごめんなさい、先に食べているかとおもっていたわ。」

すこし俯きがちに、申し訳なさそうな表情でそう言ったフォーラにドラコは全くだと返した。

「でも、僕は君の父上に言われたように、君から離れちゃいけないことになっているんだから」

そう言ってドラコの表情が少し和らいだのをフォーラは見たが、それが何故なのかはわからなかった。そしてそのままフォーラ女子寮へと急いで上がり、すぐに着替えにかかった。

ドラコは正直言って、フォーラがグリフィンドールの彼等と遊ぶというのは好ましい事ではない。何に怒っているのかなんていう事はわかっている。ただグリフィンドールにフォーラを取られるような錯覚に陥りがちなために、そういう風に感じてしまっていたのだ。
しかし自分は彼女の父親が以前フォーラに送った手紙の内容の通りちゃんと彼女を見守っている訳だし、フォーラもドラコ自身を頼っている所がある。そう考えることでドラコは彼女のいるべき場所が自分のすぐ傍だと思えたし、小さな怒りなんてどこかに行ってしまった。

少しすると女子寮の方から階段を駆け降りる音がした。フォーラは着替え終わると一目散にドラコの元へ戻って来たのだ。

「ごめんなさい、待たせてしまって」

「いや、いい。とにかく行こう」

談話室を出て大広間へと続く廊下を二人は並んで歩いた。雪合戦の話をしてもドラコの機嫌が悪くなるだけだろうと薄々感じていたフォーラは、その話には触れないことにした。
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