秘密の部屋
□need
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翌日の土曜日。この日はグリフィンドール対スリザリンのクィデッチの試合の日であり、そしてドラコの初試合の日でもあった。どんよりとした鉛色の空を写し出す大広間にフォーラ、パンジー、ルニーが朝食を取りに行くと、ドラコは既に朝食を食べているところだった。
フォーラたちに気付くと、彼は今日の試合に余程余裕があるのか笑顔で彼女達に挨拶したのだった。
「やあ、おはよう」
「ドラコおはよう。今日の試合、頑張ってね!」
パンジーが挨拶しながらドラコの隣の空席に滑り込むように座り、彼の顔をうっとりと見つめた。余程ドラコが活躍する姿を見るのが楽しみなのか、彼女の様子はいつも以上にハイだ。
「あ、ああ。頑張るよ。」
ドラコは少々くっつきすぎているパンジーから離れながら返事をすると、彼はフォーラとルニーに席を譲るために立ち上がって席を空けた。どうやらもう競技場へ行くらしい。きっとチームの集まりがあるのだろう。
「ありがとう。ドラコ、もういいの?食べなくて……」
フォーラが尋ねると彼は「ああ」と答えた。食べ終えたからというのもあるし、パンジーにベタベタされるのはあまり好ましくないというのもある。
「それじゃ、競技場で会おう」
ひらひらと手を振って去っていくドラコに三人は手を振り返し朝食を摂り始めた。フォーラがスクランブルエッグを取り分けていると、随分ご機嫌なパンジーが目に映った。ドラコの試合があるからだろうか?するとパンジーがうっとりとした表情で徐に言った。
「ドラコ、照れてたわ。かわいいんだから」
その質問にフォーラは頭に「?」を浮かべ、ルニーは「いつ?」と全くわからないといった様子で尋ねた。そんなルニーの質問にパンジーは「もうっ」と声を漏らしたが、すぐに切り替えるとルニーが差し出したカボチャジュース入りのゴブレットを受け取った後に質問に答えた。
「ほら、さっき私がドラコの横に座って、『頑張って!』って言ったじゃない、そしたらドラコったら『あ、ああ。頑張るよ。』ですって!すぐに席もたっちゃうし。恥ずかしがり屋よね」
ルニーはため息をつきながら(これは、なんて名前の病気?)と考えたし、フォーラの方は(ドラコって、パンジーが好きなのかしら?)と幼なじみの心境を特に何というわけでも無く考えていた。