秘密の部屋

□ink
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「そんなばかな」

城に到着し、生徒達が大広間の各寮の長テーブルに着席し終わった頃にもの凄い音がした。この学校の伝統ある「暴れ柳」の方からだ。
生徒達は何だ何だと口々に騒いだが、気がつけば話はより明確なものになっていた。日刊預言者新聞の夕刊を手にした者の口から広まったに違いなかったーーーフォーラ達はついさっき彼女達の前を通った上級生の口から"それ"を聞いた。

「空飛ぶフォード・アングリア?」

上級生が言うにはこうだ。新聞を見る限り、ハリーとロンが実はホグワーツ特急に乗り遅れていて、彼らは空飛ぶ車でロンドンからここまで飛んで来たらしいという。そしてついほんの少し前に先生方の話を小耳に挟んだ彼は、先程の音がフォードアングリアが暴れ柳に墜落した音だと付け足した。

「それって、大変な事なんじゃ……」

フォーラは先程の音の原因であろう二人が心配だったし、法律面でマグル製品の物を魔法で改良してはいけないという事からしても心配だった。一方のドラコはどこと無く苛立った様子で「退学になればいい」と鼻で嘲笑った。ハリー達がしたことを好機の目で話す生徒の多さに、正直面白くないと感じているのだろうとフォーラは思った。

結局、大広間にハリー達が現れることは無かった。何故かスネイプの姿もなく(きっとハリー達に説教しているはず)、気がつけば新入生の歓迎会も終わって、皆ダンブルドアの合図で一斉に寮へ戻る時間となっていた。


「何だか、あっという間だった。」

ふあ、と欠伸をしながらフォーラはパンジーやルニーと同室の寝室で布団を被りながら彼女達に言った。このベットに潜るのも久しぶりだ。直ぐ向こうのベッドでパンジーが布団を被りながら付け足した。

「そうね、でも明日もあっという間に来るわよ。授業なんだし」

明日から授業。それは気怠いような、しかしわくわくするような、何とも言えない気分にさせる言葉だとフォーラは思った。パンジーの言う通りきっとそのうち寝付いて直ぐに朝がやって来るだろうと思った。しかしフォーラの中で次第にわくわくが勝ってしまい、彼女がようやく眠りに落ちたのは真夜中だった。

「おはよう」

朝、大広間に朝食をとりに向かったフォーラ、パンジー、ルニーは空いていたドラコの隣あたりに腰をおろしながら近くの友人達に挨拶を交わした。

「ふあ……」

フォーラが口に手を当てて大きな欠伸を一つすると、ドラコが彼女に尋ねた。

「なんだ、眠そうだな」

「うーん、少し、寝不足みたい。
学校生活や授業の事を考えていたら、何だか寝付けなくなってしまって。」
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