秘密の部屋

□at last
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「「フォーラ!!」」

キングズ・クロス駅を発車したホグワーツ特急の通路で突然後ろから声をかけられた。フォーラは一年前と同じく空いたコンパートメントを見つけ遅れ、次々と埋まっていく車内を見てまわっていた。

「あ、フレッド、ジョージ・・!」

彼女が振り返るとあのお馴染みの双子の姿がそこにあった。彼らは急いで通路を駆けてくると手短に尋ねた。

「やあ、書店以来だ。ところで、ロンとハリーを見なかったか?」

焦った様子の二人を不思議に思ったが、フォーラはハリー達を一度も見かけなかった。彼女が首を横に振ると、フレッドが参った様子で言った。

「そうか……あいつらどこ行ったんだ?」

どうやらハリー達が列車の中に見当たらないようだ。だがもしかしたらまだ見つかっていないだけで、どこかのコンパートメントにいるかもしれない。

「えっと、見かけたら、知らせましょうか……?」

「ああ、頼むよ」

ジョージがそう言うと双子はフォーラに軽く手を振り、ハリー達を捜しに進行方向のコンパートメントを順に覗きながら駆けて行ってしまったのだった。
フォーラは彼らが次の車両に行って見えなくなるまで目で追いかけていたが、ハッと我に帰ると彼女も双子の向かった方へと進んだ。ハリー達のことは気になるが、自分も早くコンパートメントを見つけなくては。


フォーラが駅を出発してからほんの少し経った。彼女は未だ車両を見つけられずにいる。

(今、何車両目かしら。パンジー達がいたら入れてもらえるんだけれど……それ以外の知り合いも、見当たらないし……)

フォーラはため息を一つつくと再び通路を進んだ。その頃、ネビル・ロングボトムはフォーラと同じ車両にいた。同じ寮のシェーマス・フィネガン達と共に一つのコンパートメントで談笑しているところだった。

「あ、」

今、彼等のコンパートメントの目の前をフォーラが困り顔で通り過ぎて行くのをネビルは見た。

(フォーラだ……!)

「?おい、ネビル」

ディーンが少し様子のおかしいネビルに声をかけると、ほんのり顔の赤くなったネビルは少々上擦った声で返事をした。

「あ、僕ーーーーちょっと用事が!少し待ってて、行ってくるーーー」

彼は少し緊張気味にそう言うと、コンパートメントを後にした。彼が通路へ出て左を見ると、少し遠くの方で明らかにキョロキョロしているフォーラの後ろ姿があった。その様子から、きっとまだコンパートメントを見つけられていないであろうことが十分見て取れる。
ネビルは彼女に声をかけようと思ったが、その分必要以上に勇気を振り絞らなければならなかったーーー自分でもよくわからないが先程から急に緊張してしまうのだ。
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