秘密の部屋

□I was lonely
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フォーラ達が書店に着くと、そこは黒山の人だかりだった。あの冒険家として有名な美男子ギルデロイ・ロックハート(彼は聴衆に、今年から闇の魔術に対する防衛術の席に着くことになったと発表した)がサイン会をしていた為だ。
ファンは中年の魔女が多く見て取れる。フォーラ達が彼を見やると、その隣には彼が書いた本全冊をたじたじになりながら贈呈されているハリーがいた。日刊預言者新聞の記者がバシバシとカメラで写真を撮っている。

(あの人、新しい防衛術の先生なのね)

ロックハートがどんな魔法使いか気になって見ていると、知らぬ間に隣に居たドラコがいなくなっていた。

「あ、あら、ドラコ……?」

人込みをキョロキョロと見渡してやっとドラコを見つけたと思ったら、ロックハートから解放されたハリーと後から駆け付けたロンやジニーに彼が何か言っているところだった。

(あら、ハリー達もいるわ。
……ドラコはまた何か良くないことを言ってるんじゃ……)

そう思ってフォーラが慌てていると、ルシウスが「行くぞ」と彼女に声をかけてドラコの方へ向かって行ったので、彼女はその後に小走りで続いた。
するとロンの側へまだこちらに気付いていないアーサーと双子がやってきて、彼らはロン達に店から出ようと促したーーー

「これは、これは、これは−−アーサー・ウィーズリー」

ルシウスがアーサーに薄ら笑いを浮かべ、ドラコの肩に手を置いて彼に声をかけた。

「ルシウス」

アーサーはそっけなく挨拶した。それから彼等は直ぐさまバチバチと火花を散らす会話を繰り広げていた。その間にフォーラは自分に気付いた双子やハリー達にオロオロと軽く手を振った。正直、挨拶している場合ではなかった。アーサーとルシウスが店内で取っ組み合いの乱闘を始めたのだ。

「ル、ルシウスさん……!」

フォーラはルシウスを止めようと彼の名を呼ぶ。

「お客様、どうかおやめを−−どうか!」
店員も必死だ。するとその時、ハグリッドが本の山を掻き分けやってきた。彼はあっという間に二人を引き離し、乱闘を静めてしまった。互いに睨み合ったあと、ルシウスはドラコとフォーラに目で合図した。そして彼らは店を後にしたのだった。
乱闘中、フォーラは終始何も出来ずあわてふためくしか無かった。ルシウスがあんなに取り乱すのを彼女は初めて見たのだ。
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