アズカバンの囚人

□interest
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さて、その日の朝食時、いつもの様に梟の大群が、一斉に郵便物を生徒らに届けに飛んで来た。今日は珍しく、フォーラの元に自宅で飼っている梟が彼女に手紙を届けた。フォーラは梟にお礼を言った後で脚に括られた手紙を外し、皿に盛っていたウインナーを切って小皿に入れた物を梟に与えてから手紙を開けた。

(お父様からだわ)

手紙の内容は、以前フォーラが父親に送った抗議の手紙の返事だった。

『フォーラ、元気にしているかな。薬の事だが、フォーラにもジョージ君にも本当に申し訳ないことをしてしまったね。そこでだ。彼にお詫びも兼ねて、今年の我が家のクリスマス・パーティーにウィーズリー家の皆さんを招待したいと思っている。私としては当然、フォーラを助けて貰った恩は返したい。
彼らのお父さんにもお誘いの手紙を出したところだ。フォーラからも、良ければ彼らに声をかけてもらえると嬉しい。
シェード』

フォーラはすっかり自宅のクリスマス・パーティーのことを忘れていた。毎年彼女の家で行われているパーティーで、去年は秘密の部屋が開かれた関係で催すことができなかった。招待されているのは、殆どが両親の友人や仕事で関わりのある人物ばかりだ。それだから、フォーラはこれまであまりそのパーティーに自身の友人を呼ぼうという考えを持たなかった。

(なんだか、あのパーティーにドラコ以外の友人が来るかもしれないと思うと、少し変な気分)

ドラコが誰からの手紙か尋ねてきたので、フォーラは父親からのものであることを伝えたついでに、彼に質問した。

「あのね……その、今年もイブにパーティーがあるの。ドラコも、……来てくれるのかしら?」

フォーラは少しばかり躊躇い気味だった。理由は簡単で、自身のドレス姿を見られるのが恥ずかしいのだ。

「ああ、君の家のパーティーだよな。父上と母上が行くなら、僕も行くことになる筈だ。それがどうかしたのか?」

フォーラは父親から届いた手紙のことを話した。もちろんジョージが被った薬のことについては触れずに。すると段々とドラコの表情が曇っていくものだから、フォーラは話さない方が良かったかもしれないと感じた。

「君のお父さんがそう言っているなら、奴らに聞いてくればいいんじゃないのか」

ドラコにさらっとそう言われたものの、何処か言い方に棘があった。フォーラは恐らく彼とウィーズリーの子供たちは仲が良くないからだろうと分かっていたので、フォーラはそれ以上彼を刺激しないよう、何も言わずにグリフィンドールのテーブルへと向かって行った。

(ウィーズリーが、フォーラの家のパーティーに来るかもだって?そんなことしたら、フォーラのドレス姿があいつらに見られてしまうじゃないか!!それだけは絶対に嫌だ。どうせあの双子が来ればフォーラをそそのかすような事を言うに決まってる。それに、パーティーでのフォーラは……他の生徒には見せたくない)

一昨年のフォーラのドレス姿を思い返してみれば、あの時は彼女への恋愛感情がなかったからこそ、そこまで何とも思うことはなかった。しかし今になって当時を思い返せば彼女は凄く可愛かった。そんな彼女は今や女性らしい魅力が増えてきて、きっと以前よりもドレスが似合うに違いない。

(それを他のやつになんて、勿論見せたくない。どうかウィーズリーが来ませんように)

ドラコは呪文でも唱えるかのように願ったのだった。
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