賢者の石

□probably
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ハリー達が予定通り土曜日にドラゴンを運び終えた翌日、スリザリン以外の生徒がハリー、ハーマイオニー、ネビルを非難していた。
ハリー達がホグワーツの最上階に来ると知っていたために待ち構えていたドラコ含め、その四人は夜中に抜け出したのが先生にばれてしまった。罰則とは別に、マクゴナガルから一人五十点減点という厳しいお灸を据えられたことでグリフィンドールは一気に百五十点も寮の点数を失ったのだ。これでスリザリンが首位に立ってしまったのは、グリフィンドール生達や、スリザリンをよく思わない他寮の生徒にとっても非常に痛手だった。

更にハリー達が受ける罰則は、禁じられた森に入って、殺されたユニコーンを供養してやるというものだった。

「ドラコ、どうして夜抜け出したの……?」

翌朝見舞いにやってきたドラコが罰則をくらったという話をフォーラにすると、彼女は少し怒ったように彼を咎めた。その言葉にドラコは顔をしかめたが、何も言わなかった。いや、言えなかった。ハリー達を陥れようとしての事だというのは彼女は知らなかったからだ。しかし彼女がそれを知って注意していたとしても、彼は言うことを聞かなかっただろう。

(ハリーにちょっかいばかり出して、だから、こんなことになったんだわ。)

はあ、と小さくため息をつけば、今度はドラコが反省の色に少しの皮肉を交えた声色で言った。

「……別に、僕が何をしようと君には関係ないだろ。
そんなに寮拝がとれなくなるのが嫌かい?」

その言葉にフォーラは「違う!」と怒って少し叫んだ。ドラコは驚いたようだったが、「じゃあなんだよ」と、やや反抗的な姿勢で言った。するとフォーラの表情は怒りから、ふと悲しいものに変わったではないか。

「私、あなたが心配だったの……!なのにそんな事、言わないで……。」

彼女の声は最後の方はか細くなってしまっていた。

「そう、だったのか。
……ああ、泣くなよ。僕が悪かった」

今にも泣き出しそうなフォーラにすまないと謝る。そして彼は彼女の怪我していない左手をぎゅっと握った。

「……?」

俯いていた顔をあげた彼女に「心配かけてごめん。…ありがとう」と言うと、ドラコは申し訳なさそうな顔をしてから握った彼女の手の甲に一回軽くキスをした。

「……もう、抜け出しちゃだめよ。」

フォーラが少し笑ってそう言えば、「フォーラも一回抜け出してるけどな」とフォーラにしか聞こえないよう言って彼も笑った。

罰則当日、この日退院したフォーラはドラコを励まし、見送った。心配だったが、こればっかりはどうしようもなかった。
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