賢者の石

□I hate you!
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「「おや、そこにいるのはフォーラじゃないかい?」」

「?」

新学期初日から数日が経った。土砂降りの雨のこの日の放課後、フォーラは図書館からの帰りにいきなり誰かに呼び止められたのだ。ーーーと言っても大体誰かは想像がつく。

振り返ると、そこにはしばらく顔を見なかったウィーズリーの双子の姿があった。二人とも制服は濡れていないが、髪には水滴を纏わり付かせていた。


「二人とも、久しぶりね。クィディッチの練習を、していたの……?」

ああそうさ、と双子は頷き、終わった頃には練習着が全身びしょ濡れの泥まみれだったと愚痴をこぼした。もうすぐハッフルパフとの首位対決があるので練習スケジュールがぱんぱんだそうだ。


「お疲れ様、大変だったのね……。」

「まあよくあることだけど、やっぱ雨は勘弁してほしいな。ところでフォーラ、休みはどうだった?」

ジョージが尋ねた。

「特に変わったことは無かったけれど、……でも素敵な休みだったわ。
二人は、どう?」


「僕らかい?今年は兄弟全員ホグワーツで過ごしたんだ。雪合戦したりだとかね」

雪合戦という言葉にフォーラは、ぱっと目を輝かせた。

「雪合戦、いいなあ……。私、したことがなくて。」

双子は驚いたように目を見合わせた後、フォーラをまじまじと見た。

「……本当かい?」

彼らの反応に少し恥ずかしくなったが、フォーラはこくりと頷いた。

するとフレッドがヒステリック気味にわざとらしく頭を抱えて言う。

「ああ、このお嬢さんは雪合戦をしたことがないなんて!

ーーーなら、もう今年は雪は積もるかわからないけど、来年雪が降ったら一緒にやろうぜ!」

その言葉にフォーラはぱっと顔を明るくして「ありがとう」と言った。


「フレッド、ジョージ!」

突然フォーラは後ろから彼等を呼ぶ声に振り返った。

「「どうしたロニー坊や」」


フォーラを見たロンは早めていた足を少し減速させ顔を引き攣らせた。双子が話している相手がフォーラだとは思わなかったのだ。

言うまでもないが、フォーラとロンは誤解が誤解を生んで非常に気まずい状態だ。

「おい、ロン。どうしたんだ?」

様子のおかしいロンにジョージがもう一度尋ねた。何も言わないロンに気を使ってフォーラは慌てて言う。

「あ、あの、二人とも、私そろそろ行かなきゃ……。それじゃ、ね。」

「ん?ああ……?またな」

フォーラの様子もおかしかったので今度はフレッドが首を傾げたが、彼女はその場を立ち去ろうとしていたのでそのまま手を振るしかなかった。
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