賢者の石

□Only of 2
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パーティーが始まって直ぐにフォーラはあまり派手でないドレスローブを着たドラコを見つけた。不覚にも少し格好良いと思ってしまったが、普段と違う場面ではよくあることに違いないと流すことにした。

それに彼女は彼に話し掛けるどころではなかった。なぜならフォーラがシェードの様々なお客に話し掛けられ続けていたからだ。

ドラコもこちらに気付いているようではあったが、彼も彼でフォーラの邪魔をしないようにと気遣っているのもあり、またルシウスの知り合いに挨拶されていたのでなかなか動けずにいた。

フォーラはあまりパーティーは好きではないかもしれない、と今更になって思った。幼い頃はドレスの事を除いては、少し楽しいものだと思っていたような気もするのだが……。

カルテットが新しい曲を演奏し始めた時、ちょうど誰からも話し掛けられない時間ができた。数組の大人達が部屋の中央でワルツを踊り始めたのだ。
フォーラはとりあえず今しかここから出られないと思い、少し足早に大広間から抜け出した。そして大広間と比べて大分静まりかえっている誰もいない長い廊下を、一人屋敷のテラスへ向かって歩いた。

「……フォーラ!」

聞き慣れた声がした。後ろを振り返ると、そこには休みに入ってからの間まだ一度しか話していなかった人物がいた。

「……ど、ドラコ。……その、どうしたの、こんなところで……。」

フォーラはみるみるうちに顔が赤くなっていくのが判った。

今の自分は似合わないドレス姿だ。そう思うとスネイプに励まされたのを思い出しても、あまり元気付けにはならなかった。

(ドラコはやっぱり、似合ってないと思っているかもしれない……。)


「ほら、これ落としたの気付かなかっただろ」

フォーラは突然の事に少し驚いた。ドラコが差し出したモノは、フォーラがメイドに付けてもらった淡い色のバラの髪飾りだったのだ。いつの間にかとれてしまっていたらしい。
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