賢者の石
□thinking…
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フォーラは入学して以来、両親との連絡は頻繁にとっていた。だから彼女の灰色の梟、カイトは何回かフォーラの手紙を届けるためにホグワーツを出入りしていた。今日は久しぶりにカイトが朝食の席にフォーラの元へ足に手紙をくくりつけて飛んで来た。このあいだ両親に出した手紙の返事が来たのだ。カイトはテーブルに飛び降りるとフォーラに手紙のついた足を突き出した。彼女は手紙を外して礼を言い、朝食の目玉焼きを分けてあげたそしてカイトは暫くして食べ終えると満足気にホーと鳴いて梟小屋の方へ飛んでいったのだった。
フォーラが手紙を開けようとした時、隣で朝食を摂っていたパンジーが少し含みを持たせて尋ねてきた。他の友人達はまだ席に現れてはいなかった。
「ねえ、今のフォーラの梟よね?」
彼女の様子にどうしたのだろうと思いつつもフォーラは頷いた。するとパンジーは考えていることを口に出していいか少し迷った後、最終的に可笑しそうに口を開いた。
「やっぱり前から思っていたけど、なんだかドラコに似てたわ!」
「え?」
そういえばカイトを初めて見た時に誰かに似ていると思った。しかしそれが誰だかわからなかったものだから、フォーラはその事をすっかり忘れてしまっていたのだ。
「あ、本当だわ……!」
フォーラは確かにカイトがドラコに似ていると思った。さすがに人間と梟となるとそっくりな訳は無いが、目の色やスッキリとした顔、それらを纏めた雰囲気が似ている。
「誰が誰に似てるって?」
今朝食にやってきたところのドラコが不思議そうな顔で出会い頭に尋ねてきたためパンジーが説明した。
「というわけなの、可笑しいでしょ」
「……どこが似てるんだ?」
「雰囲気、かしら……。」
彼の問いかけにフォーラがそう言ったが、ドラコはあまり納得していなかった。自分が誰に似てると言われても、特に梟とあってはそれはなかなか解らないものだ。