賢者の石

□Trick or treat
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ハロウィンの今日は皆どこか浮足立っていた。それはフォーラ、パンジー、ルニーも同じくで、授業こそ真面目に取り組んだものの放課後になればお互い楽しげに過ごしていた。

フォーラは友達とこんな風に騒ぐのは初めてだったので最初はどうしていいか解らなかったが、パンジーとルニーを見ているうちに楽しくなってきて、いつの間にかはしゃいでいた。
しかしそれを後から後悔する事になる。


「ねえ、せっかくハロウィンなんだから、仮装しましょうよ。さっき何人か、アメリカ式の格好をしてた人達がいたの。とっても面白そうだったわ」

ルニーの提案で仮装をする事になったのだが、何故だか話が曲がりに曲がって3人のうちじゃんけんで負けた一人が猫の仮装をするという事になってしまった。

テンションがいつもより上がっていたせいか、フォーラはその案をすんなり受け入れた。まさか自分が付けるはめになる訳がないと根拠も無いのに思ったのだ。



三人は今夕食を食べに大広間へ向かって歩いている。そのうちの一人は黒い尖った耳と長い尻尾を付けていた。


「ねえ、やっぱり……外しちゃだめかしら……」

「「だーめ!」」

クスクス笑いながら声を揃えて言うパンジーとルニーを恨めしく思いながら、化け猫の仮装をしたフォーラは後悔した。気分が良いからと言って変な賭に乗るものではない。これからは少し落ち着いて考えてからにしよう、そう思ったのだった。

大広間へ入る扉の前まで来てフォーラはまだ粘る。

「本当に入るの!?ちょっと、パンジー、ルニー……!ここ、イギリスよ?大広間で浮いちゃうわ!」

二人はフォーラを引っ張って中へ連れ込んだ。

「可愛いから大丈夫よ。」

笑顔でそう言われてもそういう問題ではない。こんな大胆な事をフォーラはしたことがなかったし、何より恥ずかしかった。そんなフォーラの顔は席に着く頃には真っ赤になっていた。
しかしせめてもの救いは、先程ルニーが言っていた仮装をしている人がちらほらいたと言うことだった。ウィーズリーの双子なんかは狼男の仮装をして一年生を笑わせている。
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