賢者の石

□keep silent
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退学免除に、ニンバス2000という箒までいただいたというハリーの状況を聞いてから、ドラコは数日間終始不機嫌だった。
フォーラはドラコの機嫌が直るまでは直接話すのは避けていようと思った。なぜならこんな時のドラコにフォーラは何と無く着いていけないからだ。特に嫌いでも無い相手の悪口は余り聞きたく無かった。

そんなある日の昼下がり、フォーラは一人で寮から出て中庭の見える廊下から外を眺めていた。ドラコは不機嫌だし、パンジー達はドラコに便乗してハリーの事を話していたからだ。
とりあえずここに用事は無かったが、今日は天気がいいので外を眺めるぐらいはしようと思ったのだ。

「外に出ないのかね、ミス・ファントム」

するといきなり低めの声の持ち主に声をかけられた。誰かと思って振り返ると、そこにいたのはあの魔法薬学教授だった。

「え、あ、セブルスさん

あ!ごめんなさい、スネイプ教授。
外には気分的に、あまり……。」


フォーラは、屋敷に訪れていた頃のスネイプを「セブルスさん」と呼んでいた。だからその慣れた呼び名が定着してしまっていたのだ。

「以後気をつけたまえ、ミス・ファントム。
しかし我輩との私的な会話ではその呼び名でもかまわんとしよう、フォーラ」

あえて「フォーラ」と呼んだのはフォーラがホグワーツに通うまで彼がそう呼んでいたからだ。

「はい、……ありがとうございます。授業等では気をつけます」

「ああ。

そういえばお前はまだ小さい頃、我輩の事をしばらくなんと呼んでいたか知っているか?」

一体いつの話をしているのだろう?フォーラが覚えている限りでも、「セブルスさん」と呼んだ記憶しかない。

「いいえ、覚えていません。
なんと、呼んでいましたか?」

しかしスネイプはその質問に答える気はなさそうだった。ほんの少しだけ笑って、彼女の頭をひと撫でしただけだったからだ。
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