賢者の石
□Sorry&Thanks
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寮を出てから少し慣れた通路を通り図書館に向かったはずだったのに、何故か気付けば道に迷っていた。やはりまだまだこの城はフォーラにとっては大きすぎるようだ。
(どっちにいけばいいのかしら……)
オロオロしながら辺りを見渡す。すると絵画しか無いはずの廊下から物音が聞こえたと思ったら、突然フォーラの目の前の絵画がギイと鈍い音を立てて開き、中から全く同じ顔の二人が顔を覗かせたのだった。
「!!」
フォーラは驚いて二人を直視してしまった。彼等が「双子」だという事よりもどちらかと言えば絵画の裏からいきなり現れた事に対してだ。
「おや、お嬢さん。こんなところでどうかしたのかい?」
「まさかスネイプにこの場面を言い付けようったってそうはいかないぜ?」
二人ともフォーラを見てにこやかに笑っていたが、顔は引き攣っていたし、なにより目が笑っていなかった。それはフォーラがしているネクタイの色のせいだろうと思った。
二人は絵画から飛び降りて靴底の軽やかな音を立てて着地するとフォーラに詰め寄った。
「頼むよ、あの道は誰にも知られたくない。口止め料としてコイツをやるからーーー」
そういって双子の片割れが出して来たのは綺麗な包みに入った飴玉の様なものだった。
「あ、あの、言わないので大丈夫です。
あと、それは頂けません。すみません……。」
双子は顔を見合わせ二人揃って口を開いた。
「「どうしてだい?」」
フォーラはたじたじになりながらも答えた。
「えっと、その……最近双子のウィーズリーは、変な飴玉を生徒相手に渡していたずらしてるって、聞いたものだから……。この飴がそうじゃないなら、ごめんなさい……。」
双子はまた顔を見合わせると今度は笑い出したではないか。フォーラはなんだかからかわれている気がして頬が赤く染まるのを感じた。
「そんな噂が流れてるのかい、その双子には気をつけなきゃな」
ジョージがとぼけたように言った。
今度はフレッドが不思議そうに言う。
「ところで、この飴がどうとかは置いておくとして、君、スリザリンにしてはえらく謙虚だ」
「は、はあ」