賢者の石
□I am…
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ハグリッドから厳格な魔女、マクゴナガル教授に一年生は預けられ城内へ入った。今は皆狭い部屋で待機させられている。どの新入生も落ち着かない様子だ。
するといきなり真珠のように白く、透き通っているゴースト20人ほどがその部屋の壁を擦り抜けて入って来た。新入生は皆固まってしまっている。
フォーラが振り返ると一人のゴーストが真後ろにいた。
(……!!)
あまりに驚いて、横にいたドラコの服の裾をぎゅっとにぎった。ドラコはゴーストを見ていたので始めは気付かなかったが、彼等が遠退くとフォーラが怯えているのに気が付いた。
「おい、大丈夫か?」
ゴーストをちらちら気にしながら小声で聞いてきたドラコに気付き、フォーラは「ごめんなさい、びっくりして……」と答えて裾を放した。
そのうちにマクゴナガルが戻ってくると、彼女が新入生を先導してぞろぞろと大広間へ向かうこととなった。二重扉を通り中へ入ると素晴らしい光景が広がっていた。何千というろうそくが空中に浮かび、天井は夜空を映し出している。4つの長テーブルにはそれぞれの寮の先輩達が着席していた。
そしてこれから行われるのは、言わずと知れた組分けの儀式。皆自分の寮が何処になるのかと緊張している様子だ。それはフォーラも例外ではない。どうもドラコに列車で言われた言葉がひっかかっているのだ。
(スリザリン以外……)
別にスリザリン以外が良くない訳ではない。しかしそうなると代々ファントム家が受け継いで来た何かが壊れそうだったし、何より友達が出来るかもわからない。ドラコがいるいないでは大違いだ。
組分け帽子が歌い終わるとマクゴナガルがABC順に名前を呼ばれたら帽子を被って椅子に座り、組分けを受けるようにと告げた。
そうしてアボット・ハンナから順に名前が呼ばれていく。
「マルフォイ・ドラコ!」
しばらく様々な名前が呼ばれ、ようやくドラコの番が来た。前に進み出て帽子を被る彼をフォーラは見守った。のもつかの間、ドラコは帽子を被るか被らないかのうちに組分けを終わらせてしまったのだ。
「スリザリン!」
組分け帽子はそう叫んだ。