賢者の石
□Greeting
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フォーラは今9と3/4番線から走り出した列車の通路をキョロキョロと見渡しながら歩いている。空いているコンパートメントが無いか探しているのだ。しかし残念ながらなかなか空いているところがない。どうしたものかと困っていると、側のコンパートメントにドラコとクラッブ、ゴイルがいるのが見えた。
(よかった……!)
フォーラはクラッブとゴイルを知っていた。余り話したことはなかったが、とにかく中に入れてもらおうと思った。
扉を開け、ひょっこり顔を出して3人に声をかける。
「3人とも、あの、入ってもいい?」
その声に気付いた彼らはパッとフォーラを見た。ドラコは一瞬驚いたが、安心したように中へ促した。
「やあフォーラ」
「ありがとう。
ドラコ、マルキンの店以来ね。
クラッブ、ゴイル、久しぶり。元気にしてた……?」
クラッブとゴイルは頷いた。
ドラコは彼女を心配そうに見ながら言った。
「まだコンパートメントを見つけていなかったのか?」
「うん、そうなの……。どこも空いていなくて」
空いていたドラコの隣に腰を落ち着かせ、ホッとしたようにフォーラは溜め息をつく。
「ドラコ達がいてよかった、知り合いなんて、余りいないから。」
安心した表情に笑顔をみせて言うと、ドラコも少し笑った。
「そういえば、フォーラは梟を買ってもらったのか?」
彼の質問にフォーラは頷いて、手に持っていた鳥かごの被せを取って見せた。
「カイトっていう名前にしたの。誰かはわからないけど、この子、何と無く誰かに似ている気がして。」
「?誰だかわからないのに、その梟にしたのか?変わってるな」
「……うーん…そうなのかしら……」
考えてから、確かにそうかもしれないと思った。しかし何故かフォーラはこの梟に惹かれたのだ。理由は自分でもよくわからなかった。彼女はこれ以上その話をするのをやめた。
それからしばらくは4人でホグワーツについて話した。どんな外観か、どんな先生がいるのか、どんな魔法を学ぶか、どこの寮に入るか。クラッブとゴイルはホグワーツで出る料理についても議論していた。
寮の話になると、やはりドラコは自分はスリザリンになるに決まっている、と言う。彼は加えてクラッブとゴイルもスリザリンだろうと推測していた。