アズカバンの囚人
□jealousy
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ルーピンが去って行った後、フォーラは安堵の深いため息と共にベッドにうずくまった。彼女は何故か彼が居なくなったことに安心している自分がいることに気付いた。
(でも、このちょっとだけ嬉しくて寂しい気持ちは……一体、)
先程のルーピンとの会話を思い出すと、彼の表情が手に取るように思い出された。困った顔に、優しく笑った顔。今まであんな風に笑う人はおそらく見たことがなかった。大人びているのに、どこか無邪気な―――。フォーラはハッとして自分の意識を引き戻した。一体、自分は何故ルーピンのことばかり考えているのか全く理解できなかった。
(とにかく、今は早く怪我を治さなきゃ)
そう自分に言い聞かせ、フォーラは無理矢理眠りについたのだった。
さて、その日の夜にハリーたちがハグリッドの小屋を訪れると、深酒したハグリッドがそこにいた。彼の話では、教員の席こそまだ奪われていないが、時間の問題だと言う。
「フォーラの様子はどうだったの?」ハーマイオニーが聞いた。
「大したこたあねえ、ちゅうとった。自分自身のせいだともな」
「確かにもっと早くに後ろに下がるべきだったのかも」ロンの意見に、ハリーが言葉を返した。
「でも、ヒッポグリフはお辞儀をしかけていたようにも見えたよ」
様々な意見が出たが、とにかく三人はハグリッドがクビにならないよう手助けすると約束をした。涙ぐむハグリッドが一度酔いを覚ますために外に出てから中に戻ると、彼は今更ハリーたちが城の外に出ていることに気が付いた。
「おまえたち、いったいなにしちょる。えっ?」
ハグリッドは大声を出し、急いで三人を城まで送り届けたのだった。