アズカバンの囚人

□blackout
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「「全く、あの子たちったらどうしたのかしらね?
フォーラ、私はあの息子たちの母親、モリーよ。よろしくね。今あなたの両親に梟便を出したわ。それで勝手に決めてしまって申し訳ないのだけど、今日はうちで一日あなたを預かると書いておいたの。今日は嵐になるみたいだし、何より直ぐに移動するよりは、もう少しここで落ち着いてもらった方が良いかと思って」

「あ……本当に、ありがとうございます。いろいろしてくださって……服まで貸していただいて。」

申し訳なさそうに言う彼女に、モリーはそんなことは気にしなくていいと朗らかに笑った。

「一日だけだけど、ゆっくりしていってね。自分の家だと思ってくれればいいですからね」

「は、はい。ありがとうございます。」

(ウィーズリー家のお母様はとてもお優しい方なのね……。)

「今、一番下の娘のジニーは疲れてお昼寝中だから、起きるまで居間かどこかで過ごしてちょうだいね。あなたの寝床はジニーの部屋に作るわ。コーヒーかなにか飲むかしら?」

それからのフォーラはダイニングでモリーとひとしきりお喋りをした。どういうわけだかここに来るまでの記憶がないことも話して聞かせた。そしてモリーが家事に取り掛かるタイミングで、フォーラは双子の部屋で彼らとお喋りしてはどうかと提案された。そういうわけで、彼女は今双子の部屋に上がり込んでいる。フレッド、ジョージがそこにいて、ロンは自分の部屋に篭っているようだった。

「……ねえ、ロナルドはこないのかしら。」フォーラがそのように尋ねると、フレッドが続けた。

「来たくないんだよ。ほっとくのが一番」

フレッドはロンがこの場にいない理由を分かっていたが、あえてそれを口に出さなかった。実際、ロンは先程のフォーラとジョージの姿にやきもちを妬いていて、そのような憐れな姿を彼女に見せたくなかったためにこの場にいなかった。


「……やっぱり、ロナルドは私が嫌いなのね。」

「―――え?どうして」ジョージが尋ねた。だって、ロンはあんなにフォーラが好きじゃないか。彼はフォーラから見たロンが自分と同じ見え方でなかったことに少々驚いた。

「出逢った時から、私、ロナルドに嫌われているみたい。……だから私、正直言っていつの間にか彼のことを嫌いになっていたわ。……でも最近、本当はいい人なんじゃないかって、そう思っていたところだったの。」

フレッドとジョージは互いに顔を見合わせた。

(この子は随分大きな勘違いをしてるみたいだ)
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