賢者の石

□probably
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ハグリッドと彼の飼い犬のファング、罰則を受ける四人が森に出向いた事でハリーには分かったことがあった。今までハリー、ロン、ハーマイオニーは四階の三頭犬が何を守っているか調べ、それが賢者の石だと分かったことで様々な理由からスネイプが金を得るためにそれを狙っているのだと推測していた。
しかしそうではなかった。ユニコーンの血を啜っていたのは、森で出会ったケンタウルスのフィレンツェの話では弱り切っている筈のヴォルデモートだというのだ。このことからハリー達はスネイプは金目当てではなく、ヴォルデモート復活の為に賢者の石を狙っているのだと考えていた。

ところが実際、そんな心配ばかりはしていられなかった。何しろ試験が迫っていたのだ。寧ろ今はそちらを心配すべきだった。
フォーラは試験勉強の最後の追い上げに掛かっていた。一年間ホグワーツで学んで来て分かった事は、自分の得意な科目は変身術と魔法薬学だということだ。魔法薬学は父親の影響もあってのことだが、変身術の伸び代には自分でも少し驚いた程だ。

茹だるような暑さの天候に恵まれ、これまた茹だるような暑さの試験会場で行われた最後の魔法史の試験がとうとう終わると、皆歓声をあげた。

「「「校庭へ行きましょ!!」」」

フォーラ、ルニー、パンジーは声を揃えてそう言い、さんさんと日の降り注ぐ校庭へと他の生徒に混じって繰り出した。三人は芝生の上に寝転がり、試験が終わったことへの喜びを分かち合った。遠くの芝生でロンを見つけたので少し心の中で顔をしかめたが、フォーラはあまり気にしないよう努めた。

芝生でごろごろしていると、向こうから誰かが近づいてくるのがわかった。フォーラは身体を起こし、その方向を見やると少し離れた所にネビルがいた。こちらの様子を伺っているようだ。パンジー達も彼に気付いたようで、身体を起こし「何でこっちをちらちら見てるのかしら」と怪訝そうに言った。

(何か、あったのかしら……)

フォーラは二人に「少し、行ってくるわ。」と告げてネビルの方へと向かって行った。
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