短編
□歌声と僕
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「はは、お偉いポッター、今日の授業は調子が悪いのかい?」
魔法薬学の授業中、ポッターが薬品の調合を間違えたのをスネイプはすかさず注意した。
いいざまだ、ポッター。
「ハリー、気にしなくていいわよ、あんなやつ」
ぽつりとポッターにそう言う声が聞こえた。声の主は何時もポッター達と一緒にいるグリフィンドールのフォーラ・ファントムだった。
「ファントム、あまり調子にのるなよ」
「そっちこそ」
少し言い争いになったので、ファントムはスネイプに注意を受けた。が、そんなことは全然気にならない様子だった。
僕としてはその態度は気に入らないし、そのつんけんした話し方も気に入らない。
それはつまり、ポッター達と話す時と僕と話す時とでは大違いということで。
まあ僕としてはそっちのほうがマシには違いないが。
次の日の早朝も、僕はあのテラスへと向かった。
…しかし、いくら階段を駆け上がろうとあの歌声は一つも聞こえてこなかった。
「……、」
……ギィー…
一呼吸おいてから、勇気を振り絞って扉を開けた。
そして外の様子をうかがう−…しかし、やはりそこには数羽の小鳥以外に誰もいなかった。
…バタン
扉を閉めてテラスの鉄格子に手をかけ、外を眺める。
いつも彼女がいなくなった後にするので癖になってしまっていた。
髪とローブがが風で靡く。朝の光が心地いい。
…ギィー……、
突然の扉の開く音にはっとして僕は勢いよく振り返った。
「………、ま、マルフォイ…?」
「な、」
現れたのは少し驚いた様子の、ファントムだった。
何故お前がここにいるんだ?
「なんであなたがこんなところにいるの?」
僕の思ったことをまったくそのまま言い返された。それを聞きたいのはこっちだ。
…まさか、あの声の主がこいつだっていうのか?
いや、そんなはずは…