炎のゴブレット

□primrose:first volume
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「それと・・・私、次のホグズミードは、もう別の人と約束していて・・・。だから・・・」

彼女の返事を聞いた男子生徒が声を発した。

「そっか・・・ごめんね。
初対面なのにちょっと急過ぎたかな。

その、これを機に、僕のこと覚えてくれると嬉しいよ。
・・それじゃあ、また」

男子生徒がその場を去って直ぐにルニーとパンジーがフォーラの元へ駆け寄った。

「フォーラ、今のって」

ルニーが彼女に問うと、フォーラは少し驚いた後で「え、ええ・・・」と困ったように頷いた。

パンジーが言う。

「ごめんね、本が見つかったからフォーラを探してて。聞き耳立てるつもりじゃ全くなかったんだけど・・。

さっきの彼、ホグズミードに誘ってきたの?」

フォーラは少し辿々しく頷いた。告白されたが、こちらは初対面だったのでお断りしたことも話した。

「そ、それからね」

途端にフォーラの声がどこか緊張気味になる。ルニーもパンジーもどうしたのだろうと彼女を見つめた。

「私・・・さっき、次のホグズミードは、他の人と約束してるって伝えたの、・・聞いていたでしょう?

あれね、実は・・・、
その、ドラコと二人で行くことになって、それで・・・。
ええと、今回は皆で一緒に行けなくて・・・ごめんなさい。」

「「!」」

パンジーとルニーは隠しきれない笑顔を一瞬見合わせると、直ぐにフォーラに向き直った。

「いいのよそんなこと!そうよね、たまには二人で行くのも悪くないわよね。
私達の事は気にしないで!デー・・・あっ、幼馴染同士楽しんでね!」

パンジーは思わず「デート楽しんでね」と言いそうになるのを半分言いかけた所で何とか言い直した。

「ええ、ありがとう・・・。
当日は、行った事の無い道に行こうと思っているの。
何か面白いお店を見つけたら、また、二人にも教えるわ。」

「「ええ!是非そうして!!」」

この時二人は(今晩ドラコに詳しく聞かなきゃ)と全く同じ事を考えていたのだった。



その日の夜、パンジーとルニーは案の定フォーラが席を外した隙にドラコに今度のデートについて詳しく尋ねた。

「ねえ、なんて誘ったの?フォーラの反応はどうだった?」

「私達であなた達のこと、こっそりつけて行ってもいい?」

あまりの質問攻めで、あまりの恥ずかしさと苛立ちに堪え兼ねたドラコは、怒りにも似た表情で真っ赤な顔をして勢い良く立ち上がった。

「お前ら、うるさいぞ!!!!」

その時丁度彼らの元へ戻ってきたフォーラの後ろにルニーもパンジーも隠れたものだから(彼女達はフォーラの後ろで顔をニヤニヤさせていた)、ドラコは「ぐぬぬ」と歯を食いしばりそれ以上何も言えなくなってしまったのだった。
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