番外編

□待ちわびたあの人
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「褒めると凄く照れるところは相変わらずだ」

にこ、と優しい笑顔が向けられてフォーラは以前ルーピンが城にいた時の事を思い出した。

「もう・・・。

ああ・・・でも、ルーピン先生も、以前も今も表情豊かで、それに優しく笑うところも、変わりませんね。・・私、ルーピン先生の笑顔、とっても好きなんです。だから嬉しい。」

ふふ、と微笑み返す彼女にルーピンは目をぱちくりさせた。そんな風に思ってくれていたとは何だか驚きだ。

「いやあ、そんな事を言われると僕も照れてしまうよ。ここは素直にお礼を言っておくとしよう。ありがとう」

その場が和やかな空気で満ち溢れていた。
ルーピンは自分が受け持った生徒の中でフォーラの事をハリーと一二を争うくらいに信頼している。ただ違うところと言えば、彼女を一人の生徒として見ていたかどうか、だった。

彼女を生徒として受け持っていた頃、自分と話す度に頬を赤くして照れる様子に何となくこちらも落ち着かなかった。気づかないフリこそしていたものの、自分でも知らないうちに彼女は少しだけ自分の中で他の生徒より"特別"な存在になっていた。

だが20以上も歳の離れた自分ではとてもじゃないがそれを認めるわけにはいかなかったのだ。そんな中、城を立ち去る頃になって知った事だが、彼女が自分の人狼という正体をこちらが打ち明ける前から受け入れてくれていた事には本当に驚いたし、嬉しかった。

そして城から去る時、フォーラは一番最後に自分を見送ってくれた。その際彼女が言った言葉は月日が流れた今でもよく覚えている。

「フォーラ、そう言えば僕が城から出て行くときに、君は僕を尊敬していると言ってくれたのを覚えているかな?」

フォーラはルーピンを見て頷いた。あの時自分が言えなかった、いや、言わなかった言葉も情景と一緒に思い出した。

「はい。もちろんです。あの時が、先生と直接お話しした最後でしたもの。」

「そうだったね。・・・それで、どうかな?手紙のやり取りの中で、そして今こうして久しぶりに僕を見て、君は僕をどう思う?まだ、僕は君の尊敬に値する人間としてあり続けているかな」

フォーラは今目の前にいるルーピンをじっと見つめた。それと同時にこれまで彼とやり取りしてきた手紙の数々の内容を思い返した。城を離れてからのルーピンの新しい職での頑張りはよく彼から聞いていたし、その中での苦労も多くしているようだった。

フォーラは優しく笑うと頷いた。

「はい!もちろんです。」

「!・・・それはよかった」

思わずこちらもつられて笑顔になる。短い間だったが彼女のような子の先生になることができて、ダンブルドアには本当にいい経験をさせてもらったと思った。
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