炎のゴブレット
□robe
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(フォーラがグリフィンドールなら、もっといろいろ気付けてやれるんだけどな)
フォーラが虐められていた時だって、ジニーに言われなければ気づかなかった。
彼女が近くにいたら生活はどんな風に変わっただろう。それに彼女との距離も・・・。
(それにしてもどうしてフォーラはスリザリンなんだ?
未だにそれがわからないんだよなあ。悪知恵が働くような感じでもないし、手段を選ぶような子でもない。
もしかしたら、それだけまだ俺がフォーラのこと、わかってないってことなのかもしれないな・・)
・・・マルフォイはフォーラのスリザリンらしいところを知っているのだろうか。だとしたらそれは自分の知らないフォーラを彼が知っているということだ。
(・・・・)
そう思うと何だか少し悔しい。
「・・・はあ。」
ジョージはこれ以上意味のない堂々巡りをしていても仕方がないと思った。フォーラの側にいると、そんな嫉妬心が見えて自分自身が嫌になる時がある。
ジョージは椅子から立ち上がると杖を取り出してフォーラに呪文をかけた。
(これで、涙のせいで目が腫れることもない。
すっきり起きられるといいな)
ジョージは着ていたローブを脱ぐとそのままフォーラの肩にかけてやった。温室からの帰りは雪道を通る。ローブ無しでは寒いだろうなあと自分の身を想ってジョージは笑った。
だが彼はすぐその微笑みを表情から消した。真剣で、フォーラにしか見せたことのない、切ない"カオ"が彼の顔に浮かんだ。
「・・・フォーラ」
ジョージはフォーラの髪を片手で軽く梳いた。サラリと指の間を抜けていく髪は指通りが良くて、柔らかい。
ジョージはこんなに無防備なフォーラの姿を初めて見た。寝顔を見たのは二回目だが、あの時とはどこか違う無防備さがある。
何だか頭のどこかで今まで抑えていたものが切れてしまった気がした。そのせいでフォーラのことをいつもと違う目で見てしまう自分がいた。
「俺、・・・。・・・ただのお人好しじゃなくて、ごめんな・・」
そう言うとジョージは椅子から立ち上がり、フォーラの顔に自分の顔を近づけたーーー。
「ーーー、・・・フォーラ、・・・フォーラ、こんなところで寝ていたら風邪を引くぞ」
「ん、う・・・」
名前を呼ばれる声がして、身体を揺すられる。なんだろうと思い目を開けると、目の前には自分の顔を覗き込んで心配そうにこちらを見つめるドラコの姿があった。
「!!っーーー」
途端にフォーラは眠い目を開き、あまりに驚いて声にならない声を出した。突然の事に顔も真っ赤になってしまった。
そういえば泣きながら眠ってしまっていたのをすっかり忘れていた。咄嗟に身体を起こして寝起きの顔を俯いて隠す。涙で目が腫れているに違いない。こんな顔、今のドラコには見せられーーー
(あ、あら・・・?瞼が、全然重くない・・・。たくさん泣いたから、絶対少ししか目が開かないと思ったのに、何故かしら・・)