炎のゴブレット
□hatret
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ハリーは例の噂については知らないのだろうか。
「そうだったんだね。先生もそう思ってくれてたなんて」
「ええ。・・・だからね、ハリー。
多分まだ、これからあなたのことを良く思わない人が沢山いると思うけれど・・・、その、ドラコとか・・・。
でも、先生やハーマイオニーみたいに、あなたのことを信じている人もいるから、だから・・・くじけないで。ね。」
フォーラはこの言葉をまるで自分に言い聞かせるように言い放った。おそらくこれからまたクラムのファン達に何か言われたりすることがあるだろう。
しかし弱気になってばかりいては何の解決にもならないし、パンジー達を心配させてしまうことになってしまう。
できるだけ平常心を保たなければ。
「ありがとう。フォーラは本当にいつでも優しいんだね」
「あ、ええと・・・ううん、そんなこと。
私、ハリーの気持ち、少しだけどわかるから、だから・・・。」
「え?」
フォーラは口をついて出てしまった言葉にハッとして慌てて付けたした。
「あっ、あのっ、なんでもないの。
私、そろそろ行かなきゃ。
ま、またね・・・!」
それからのハリーは以前より元気があるように見えた。しかしフォーラに至ってはその逆だった。少し俯くことが多くなって、人と目線をあまり合わせないようになってしまっていた。
どうやら学内の様子からして、彼女のことを忌み嫌っているのはほぼクラムのファンのようだ。たまにそうでない人も勘違いしているようではあったが、ファンと違って決めつけず、真偽は定かではないといった捉え方をしていた。
加えて噂があまり公になっていないということはフォーラにとって救いだった。そういった噂を知っているのは主に女生徒だけのようにフォーラは感じた。決まって女生徒から冷たい態度を受けるからだ。
それに一番早くに情報を手に入れそうなドラコからそのような質問が飛んでこないのも理由の一つだった。
フォーラはクラムのファンにすれ違う度、クスクス笑をされたり睨まれたりする日々が続いていた。
彼女達は決まってフォーラの近くに友人がいない時を見計らってそのようなことをしてきていた。
フォーラはできるだけ自分でなんとかしたいと思う気持ちもあり、ルニー達には多少話すものの、大丈夫だと言って彼女達になんでもない風を装ったのだった。