秘密の部屋

□quarrel and feeling
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それはつまりロンがフォーラを嫌っていた根本的理由が解消されたということになる。

(今まで僕が明らかにファントムを嫌ってた理由は、もう意味がない?いや、最初から意味なんて無かった?
どっちにしろ、僕は彼女に酷い接し方をしてたのかもしれない)

しかしそうだとしても、現状は彼女自身がロンを嫌っている。そしてロンもフォーラが反純血主義でも果たして「良い人」とは限らないと思っている。ロンの中で彼女を嫌う根本的理由が無くなっても、それから発展した喧嘩や誤解から二人がお互いを敵視しているという関係は結局変わらない。
ただ、ロンがフォーラに少しすまないことをしたと感じたのもまた事実だった。

「ロン、ねえロン?」

先程から黙ったままのロンを心配してハーマイオニーが彼に声をかけた。「大丈夫?」と聞かれた後に彼は「大丈夫」と答えようとしたものの、ナメクジによる吐き気がやってきて答えられなかった。

競技場でのフォーラの行動や発言によってドラコは何も集中できずにクィディッチの練習を終えた。その頃はちょうど昼食どきになろうとしていたところだった。パンジーとルニーは途中でフォーラを捜しに城へ向かって以来、競技場の応援席には戻っていない。
ドラコはロッカールームで制服に着替えると、精神的に疲れ果てたのも相まってすぐにでも昼食をとりに大広間へ向かいたい気持ちで一杯になった。しかしそれとは裏腹に、彼の足どりは随分重く感じられていた。

(フォーラが大広間にいたら、どんな顔をすればいい?)

フォーラに許してほしいと思っている自分に少し腹立たしくなりながらドラコは頭を振った。何故彼女のご機嫌を気にする必要がある?そうは思ったものの、しかしやはり浮かぶのは彼女が自分に向けた「大嫌い」という言葉だけだった。どうすればいいか分からないが、とにかく今は大広間で昼食をとろう。そう思い立つと同時に彼は重い足取りを無理矢理早めた。
それから暫くしてドラコはスリザリンのテーブルに向かったが、そこにフォーラの姿は無かった。もう食べ終えてしまったのだろうか。パンジーとルニーの姿はまだそこにある。

「パーキンソン。フォーラはどうした?」

パンジーの正面の席に座りながら彼女に聞くと、パンジーは少し不安気に答えた。

「フォーラは寮に行ったわ、お昼も食べたって。
でも元気無かったわね。大丈夫かしら?」

(ああ、やっぱり僕を避けてるとしか考えられない)

フォーラがドラコにここまで怒ったことは今まで一度も無かった。彼はそんな初めての経験への対処法が分からず、これから先、彼女が自分を本当に許してくれるか自信を持たなかった。
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