秘密の部屋

□I was lonely
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「おじ様、大丈夫ですか……?」

「父上、目のところに傷が」

ルシウスの目元には本で打たれた痕があった。「ああ」と彼はそんな痕が出来ていたのかと手を目にやった。

「心配する必要はない。全く、ウィーズリーめ……」

その後全ての用事を済ませた一行は、教科書やらの荷物と共にマルフォイ家の屋敷へと戻って来た。

「学用品とか荷物をまとめたら、多分三十分ぐらいかかるかしら……。」

フォーラは自分の両親とドラコの両親にダイアゴン横丁からマルフォイ家へ帰った日に自分の屋敷へ帰宅すると約束していた。

「まだ居てもいいんだぞ。夏休みは後半分もあるんだ」

帰り支度をするフォーラにドラコが何気ない様子でそう聞いたが、彼女は首を横に振った。

「そんな、だめよ……おば様やおじ様に迷惑がかかるもの。
それに二日泊まれただけでも、とても楽しかった。
ドラコも、元気そうでよかったし。」

そう言うとドラコは「遠慮しなくて良いのに」と何だか少し拗ねた様子だった。
普段見せない寂しそうな姿にフォーラは彼をかわいいなと思いながら「ありがとう」と微笑んだ。

その後フォーラはマルフォイ一家に丁寧に礼を言い、フルーパウダーで自分の屋敷に戻った。ドラコに会った後だと、何だかホグワーツの皆が恋しくなった気がした。夏休みは後半分もある。正直なところフォーラはもう少しドラコと一緒に居たかった。それは皆に会えない分の寂しさが彼に向かっていたためだった。

寂しさを紛らわすためフォーラは残りの夏休みをパンジーやルニー、ドラコに手紙を送ったり、父親の手伝いをして過ごした。頻繁に手紙は返ってきたし、父親も喜んでくれた。しかしフォーラはそれだけでは足りなかった。ホグワーツに行き一年過ごした事で、そこへ行く以前には無かったモノが彼女の中には増えていた。

(今までこんなに寂しいって、思ったこと無かった……)

引っ込み思案な彼女の周りには会いたい人が増えていた。自分でも気付かないうちに。そのため夏休みに会う約束をパンジー達としていればよかったと何度も思った。しかしそれをするのは結局無理だ−ーー何故ならパンジーはエジプト、ルニーはイタリアへ旅行中で、彼女達は夏休みの殆どをそこで過ごすのだ。
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