アズカバンの囚人

□blackout
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「フォーラ、奴はそりゃあ最初は君が嫌いだったみたいだ。あいつの嫌ってるマルフォイと君は仲がいいからさ。でも今じゃあ君と仲良くなりたがってる。な、相棒」

「ああ」

「……本当?」フレッドの言葉は、フォーラには少し信じられなかった。だって、あんなに嫌がられているのに。

「でも、御礼を言っても彼はそっけないように見えるし、目も合わせたくないみたい。」

フレッドとジョージは再び互いに目配せし合った。

(ロンってなんてわかりやすいんだろう。それにフォーラは鈍感すぎだ)

しかし、ジョージはフォーラが鈍感のままでいいと思った。今まで通りでいいのだ。彼女はこのままロンの好意に気付かなくていい。

さて、その後のフォーラは食事が始まる前にモリーを手伝った。するとその最中に残りの兄妹と、ウィーズリー家の父親が自室から下りてきたところだった。彼らはみんな、昨日のエジプト旅行で疲れて今まで寝ていたらしい。フォーラを見るなり目を輝かせたのはジニーだった。

「あ……ジニー、久しぶりね。私のこと、覚えているかしら……?」

フォーラが様子を伺いながら尋ねると、ジニーは頭を上下に振って手を握ってきた。

「おや、そちらは何処のお宅の娘さんかな?」

次にフォーラに声をかけたのは父親のアーサーだった。フォーラは急に押しかけて申し訳ないということと、今日一日よろしくということを丁寧に話した。モリーもアーサーに事の次第を説明した。

「そういうわけで、ご迷惑おかけします……。それから、どうぞよろしくお願いいたします。」

アーサーは驚いていた―――まさかファントム家の娘がこんなところにいるとは思いもしなかったのだ。

「ああ、よろしくね。こんな丁寧に挨拶するお嬢さんは久しぶりに見た」アーサーはフォーラの随分礼儀正しい様子に、にこやかに笑いながら彼女と握手した。
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