運命の星々

□*05.和解
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『── よし、』



普段より動きやすい格好に着替え、あとは出発するだ。



『、っと…あれを忘れるところだった』



衣装棚の奥深くに眠っている物を出す。ついにこれを使う時が来たのか、と感慨深くなる。すると部屋の扉を叩く音がした。おそらく李凪だろう、いつも通りの返事をして中へ通した。



「決心されたのですね、蘭飛様」

『あれからもう一度考えてみました。どうなるか分かりませんが、一か八かやってみますね』

「情報通り、巫女様達は本日、太極山へ向けて出発なさるようです」

『李凪の情報網には感謝するばかりです』



後宮から宮廷へと通ずる門の前。深く頭を下げる李凪に手を振り、一歩足を踏み出した。
門兵は物珍しい顔でこちらを見ているが、止める様子はない。確かにこの格好じゃ誰も妃だと思わないだろう。



『空が綺麗、』



── 私は、前へ進む。







─ 宮廷 ─



「星宿!蘭飛どこ捜してもいないの…何か知らない?」

「! その者なら侍女の任を解いたぞ」

「! どうして?!」

「神 蘭飛は侍女としての役目を果たせなかった。その証拠にお前を市内へと連れ出し、その上風邪を引かせたではないか」

「違う!あたしが蘭飛に頼んで連れてってもらったの!蘭飛は反対してたのに、あたしが無理矢理…!」



そう、あの時蘭飛は危険だと言ってくれていたのにあたしが無理にお願いして…っ!蘭飛は何にも悪くないんだよ…!



「美朱…」

「あたしのっ…せいなの…」



苦しくて薄れゆく意識の中、必死に蘭飛が名前を呼んでいてくれたことを微かにだけど覚えている。

この世界で出来た初めての女の子の友達を、失くしちゃった…!




「陛下、本当に共の者をつけなくてよろしいのですか?」

「なんの…巡遊を我が足で行うだけのことよ」



星宿が文官の人と話していると、いきなり門の方が騒がしくなった。何かあったのかと全員の意識がそちらに向いた。



「何の騒ぎだ!」

「陛下、それが…っ」



太陽の逆光でよく見えないけど…門の所に誰か立ってるみたいだった。

その人に、見覚えがありすぎた。



「、…蘭飛…?」


「貴様!先日侍女を解雇された者だな!?」

「宮廷に何の用だ!」


「待って!!」



今にも蘭飛に飛びかかりそうな門兵を止めるために駆け寄ろうとしたけど、それを星宿に防がれた。



「星宿!」

「その者を捕らえろ!」



星宿のその言葉で一気に門兵達が蘭飛に襲いかかっていった。



「っ、やめてー!!!」





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