NEWStory 2
□ミーティング 4
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山下は、おにぎりを食べながらジーッと、小山の顔を見つめた。
「えっ?なんで?これ、智久ん家の鍵…だけど…」
なんで受け取らないの?と、小山が言った。
「今、おにぎり食べてるの。」
言いながら、相変わらずジーッと見つめている。
「いや、わかるけど…。」
と言って、困った顔をしている小山を見て、山下は一つため息をつくと、ようやく鍵を受け取った。
「昨日は、迷惑かけちゃったね。ごめん。」
と、山下が言った。
「迷惑じゃないよ。大丈夫だよ、全然。」
笑って小山が言った。
「ホント?」
「うん、嘘じゃないよ。」
「なら、よかった。」
朝食が終わった山下は、ゴミを捨てて、部屋を出ていった。
「智久、どこにいったんだ?」
と、呟くと隣にいたシゲが、
「トイレじゃないの?」
「あぁ、そうか。」
「しかし、小山も鈍いな。」
「なんで?」
「さっきの鍵だよ。なんでなかなか受け取らなかったと思う?」
「えっ?おにぎり食べてたからでしょ?」
「…おまえ。おめでたいヤツだな?」
「なんでよ。」
「たまたま、そうなったとはいえ、小山に持ってて欲しかったに決まってんだろ?だから、おめでたいヤツだって言ったんだよ。」
「……いや…でもさぁ。」
「じゃあ、なんで自分ん家の鍵受け取るのに、躊躇する必要があるんだよ。ちょっと考えたらわかるだろ?」
「そうなの?」
「逆に考えたらわかるだろうよ。小山と山下くん…。」
シゲにそう言われて、小山はようやく納得した。続けてシゲは、
「最初に躊躇してるときに、『じゃあ、後で返す』って言ってもよかったと思うけど?」
と言った。
「そうだなぁ。」