短編小説

□初恋
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大学の友人たちに誘われて、居酒屋に出掛けた。


20歳になって数ヶ月。何度目かの飲み会。


20歳を迎えるまでは、周りからいくら誘われようと決して行かなかった飲み会も、誕生日を過ぎてから、ようやく参加するようになっていた。


飲み会を開く理由なんて、ほんの些細な、どうでもいい理由。


僕は、暇っていうわけでもないんだけど、なんとなく参加してみようと思った。


時間ぴったりに指定された居酒屋へ着いた。


賑やかな店内に入り案内されたテーブルは、個室ではなくて、簡単な仕切りで区切られているだけだった。


それでも今日は普通の学生として来ているから別に気にならなかった。


席に着くと、まだ到着していない者が2・3人いたが、


「とりあえず、もう時間だから始めようよ。」


と言う、仕切り屋の友人の声で飲み会は始まった。


それぞれ頼んでいた飲み物が運ばれ、手に取ると、


「かんぱーい!」


と、グラスを合わせた。


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