短編小説
□初恋〜まだ始まらない恋〜
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“絶対、第一志望には入りたい。少ない時間でやれるだけのことはやったはずだ。”
そんなことを思いながら、第一志望の中学受験の日を迎えた。
受験する学校の門で更に決意を新たにして、校舎を見上げる。
ふと見ると、同じように校舎を見上げている受験生がいた。
“可愛い…。”
しかし、よく見れば相手は男の子ではないか。
“やべぇ…なに考えてんだ。アイツ、男だし…。僕だって男だ。第一、今日は大事な受験だ。”
自分に気合いを入れる為、頬をピシャッと叩いた。
受験票を確かめて席に着くと、さっきの男の子が遥か斜め前に座っていた。
横顔ですぐにわかった。
“どっからどう見ても、間違いなく男なのに…。どうしちゃったんだろう…僕…。”
しかし、あの子と一緒に受かりたいなぁ、とも思い始めた。
時間はあっという間に過ぎて、すべての教科が終わった。
とりあえず全て埋めることは埋めたが、なんだかうまくいかないような気がしていた。
結果は、ダメだった。
“あの子は受かったのかなぁ…。一緒に通いたかったな。”
結局、第二志望の中学に通うことになった。
そして、数年後…。
意外なところで再会した。
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