短編小説
□OUT STORY 1
1ページ/10ページ
きっかけはなんだったんだろう…。
気づいたら、ずっと目で追っていた。
俺は、なんか物凄い人と同じグループになったことに、驚いて…すごく緊張して…。
でもその分、嬉しかったことも事実。
一緒に仕事が出来ることが誇らしかった。
多分、最初は、憧れの人って感じで…。そういうふうに思ってずっと目で追っていた。と、思っていた。
ある日ふと気づいた。なぜか少しずつ俺は避けられているような気がしてきた。
目が合うと以前は柔らかな笑顔を返してくれた人が、今は目が合うとすぐにそらすようになった。
“俺…なんか嫌われるようなヘマしたかな…”
真剣に悩んだが、まったく思い当たる節がなかった。
「シゲ…相談があるんだけど…。」
「なに?」
「ちょっと…」
と言って、親友でもあるシゲを人気の無いところに引っ張っていった。
「なんだよ。なんか、深刻そうだけど…」
「俺さ…嫌われちゃったのかな…」
「嫌われた?誰に…。」
「あの……ヤマピーに…」
「山下くん?なんで?」
「だってさ、目が合っても、目をそらすんだよ。今までは、ニコッて笑ってくれたのに。…なんかヘマしたかな?俺。」
「たまたまじゃないのか?気にしすぎだろ?」
「そうかな…。すごい気になるんだけど。」
「聞いてみれば?本人に。」
「それが出来たら、シゲに相談してないって」
「うーん。おまえがいつものとおりにしてれば、また元に戻るんじゃないの?ま、俺は思いすごしだと思うけどね。」
「いつものとおりか…」
「そう。」