短編小説
□サクラ
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季節は巡り、また桜の咲く季節になった。
僕の家の近くの公園の桜も、次第に満開になっていき、ヒラヒラとハートの花びらを散らせていた。
あのとき、僕はあなたと約束した。
とてもきれい咲くんだよ。来年は一緒に桜を見たいな…って。
夜の桜もいいよ。ほんの少しだけど、ライトアップされていて、きれいなんだ、って…。
でも、あんなに楽しみにしていたこの季節なのに、なんか…楽しめない。
ホントはね気分としては、蕾を見つけて、いつ膨らむだろうなって思いながら、毎日、今にも咲きそうになってる一輪の桜の花を探したり、今日は何分咲きくらいだろう、今日はもう五分咲きくらいかな?とか、もう明日には満開になりそうだなぁ、いつ一緒に見に来ようかな?なんて…。
そんなふうに楽しみたかったんだ。
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