NEWStory 2
□昨日よりもっと…
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『いってらっしゃい…か。あんなこと言ってもらえるなんて思わなかったな…。』
小山はラジオ局まで車を運転しながら、そんなことを考えていた。
“ただいま”を言うか言うまいか悩んでいたのに、あっさりと“お帰り”と“いってらっしゃい”の二言を山下に言われた。
そう言ってくれたときの山下の顔を思い浮かべて、笑みがこぼれた。
『嬉しそうだったな。…………。おっと、運転しながら1人で笑ってると変なヤツだと思われちゃうぞ。ヤバい、ヤバい。』
つい、口元がゆるみそうになるのをどうにか我慢した。
局に着いて車を止めると、
「おはようございます。」
と挨拶して入っていった。
まもなくして、今日のゲストの手越が到着した。
「慶ちゃん、おはよう♪」
「おはよう、手越。昨日なにしてた?」
「えっ?昨日?昨日はぁ、シゲと…(デートは、まずいか…)遊んでた。」
「へぇ〜。どっか行ったの?」
「ひさびさに、ボーリング。シゲ、弱いんだもん。スコアなんて女の子みたいな数字。」
「凹んでただろ?(笑)シゲ。」
「うん(笑)。やる気満々なのにって。」
「(笑)。」
「慶ちゃんは何してたの?昨日。」
「俺はショップで買い物した。今、着てるヤツがそうだよ。」
「あっ、これ?いいじゃん♪カッコいいよ♪」
「だろう?Pの見立てだもん。いいに決まってるじゃん♪」
「えっ?山下くんと行ったんだ。いいなぁ〜。俺も行きたかったなぁ、山下くんと。」
「シゲと行けばいいじゃん。それか、まっすーか。」
「山下くんは、別だよ。シゲとまっすーと行くのとは違うもん、全然。」
すると小山は手越に耳打ちして、
「シゲに言いつけるぞ。そんなこと言ったら…。」
と言った。
「いいよ、別に。」
と手越。
「余裕だな(笑)。」
と小山は笑った。