NEWStory 2


□桜色
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朝早い時間に待ち合わせして待っているが、


(とは言っても、普通の人は元気に動き回っている時間帯)


なかなか来ない待ち人。


「遅い…。自分で言ったのに…。時間は間違ってないんだけどなぁ。」


こんなに目立つ場所に立っているのだから、気づかない筈はない。なのに、一向に姿を現さない、恋人。


待ちくたびれて、座り込んでしまった。


『疲れた…。忘れちゃったのかなぁ…。あっ!そうか!』


もっと早く気づけばよかったよ、などと、言いながら携帯をプッシュし始めた。


「………あっ!やっと出た!何してんの!?シゲ。」


『あっ!ごめん!今、向かってる!ダッシュしてるから!あと…もうちょっと!』


「ねぇ!今、何処にいるの?」


『ユウヤ、後ろ!』


「後ろ?」


回れ右で振り返ると、まさに猛ダッシュ!で走ってくるシゲの姿があった。


「ごめん!遅くなった!はぁ…はぁ…はぁ…」


「何してたわけ?言い訳を聞かして。」


腕組みをして仁王立ちの手越。


「…言い訳できない…ホントにごめん。」


「寝坊したな…。」


「…正解…」


「信じられない…ふん!」


そっぽを向いて目的地へ1人で歩き出した。


「待てって!マジで謝るよ!……しょうがないじゃん…寝付けなかったんだから…。」


前を歩く手越がピタッと止まって、後ろを振り返った。


「何で?『寝付けなかった』って、どういう事?」


「あっ!いや…だから…その…」


何故か、シドロモドロになるシゲ。故にますます怪しまれる。


「怪しい〜。何でだよ。言いなよ。」


「えーっ!?言うの!?…えぇ……」


なかなか往生際が悪い。が、ようやく決心して話す気になった。
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