短編小説

□初恋〜まだ始まらない恋〜
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小山もシゲも増田も、手越のことを気にかけた。もちろん、他のメンバーも例外ではないが。


どのグループに所属していたわけでもないし、入所して数年経っているわけでもない手越が、すぐに馴染めるはずがなかったからだ。


ましてやシゲにとっては、誰にも言ったことなどなかったが、初恋の相手である。


ことあるごとに、「手越、手越。」と、輪に入れようと努力した。


“いろんな思いを込めているんだけど……なかなか伝わらないなぁ…。”


日々、こんな思いの連続だった。


手越もいろんな葛藤があるようで、感情の起伏が激しいときもあった。


“僕だって力になってあげるのに…。”


しかし、時間はいろいろなものを解決してくれた。時が経てば、見知らぬ他人も知らない人ではなくなってくる。


手越も何か吹っ切れたようで、以前のように感情の起伏が激しくなることもなくなった。


そんなある日、雑談の中で学校の話になった。


「へぇ〜。その中学校は第一志望だったの?」


と、メンバーが手越に聞くと、


「ううん、違うよ。第一志望は落ちた。」


「えっ?どこ受けたの?」


と聞かれて、答えた学校名は、シゲの第一志望だった中学校。


最初の会話を聞き逃していたので、その学校名にビクッと反応した。


“えっ?”


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