augurio

□お祭りは騒いでなんぼ
2ページ/4ページ









『ここ…だよね…?
大きいし、志村だし。』



現在私は、大きくて長い塀に囲まれた門の前にいる。
はっきり言おう。
5回くらい迷いました。
何回も人に聞いてやっとここまで…

やばい、30分も遅れてる…


インターホン…
あるんだけど、押すのに気が引ける…
ん―――どうしよう…




「アヤちゃん?」

『ひゃっ…!!!』



押そうか押すまいか迷っていると、小さいほうの門がギギッと開いて、整った小さな顔が覗いた。

妙ちゃんだ。

いつものように、サラサラの茶髪混じりの髪を、高い位置でまとめている。
けれど、着ているものが違う。



『わっ…浴衣!』



そう、彼女が着ていたのは、やさしいピンクの浴衣。
桜の花びらが散ってる模様で、すごく似合ってる。

っていうか違和感がないのは何故…?





「うふふ、家にたくさんあるから、アヤちゃんにもと思って。」

『ほんと!?うれしい!!!』

「私もヨ!!!」

『あっ神楽ちゃ……あ!?』



家のほうから、いつものボンボンを外した神楽ちゃんがあわられた。
サラリと癖のないオレンジ色の髪が、肩へ垂れている。

が、問題はそこじゃない。




『ちょっ!なんでサラシ一枚なの!?』


スカートこそはいてはいるものの、(学校のやつ
彼女の上半身はサラシのみ。

しかも膨らんでいるのかいないのか、微妙な部分を被える程度にのみ。
うん、言い方かわいそうだった、ごめん。





「風邪なら大丈夫アル、私ひいたことないヨ。」

『そーじゃなくてねっ!…はぁ…もういいよ。』



これは何を言っても無駄だな、と理解た私は、とやかく言うのをやめた。




「?まぁなんでもいいネ!早く入るヨロシ!」

『めちゃめちゃ自分の家にしてるよ神楽ちゃん。』



ぐいぐいと引っ張られながら、志村家の敷居をまたいだ。






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ