augurio

□親しき仲にも礼儀アリ
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「一人暮らしにしちゃぁ広いねィ。」

「これ逆に寂しくなるだろ。」



二人がリビングを見回す。
広いっちゃー、広いかもしんないな…一人暮らしに適した造りじゃないみたいだし。
あ、でも





『一人暮らしっていうか…三人暮らし?』

「はっ!?」





私の言葉に、真っ先に声を上げたのは退だった。
何かへんなこと考えてない?




「さん、にん?」

『うん。このこら。』



ひょいっと、そこにあった黒と白の温かい毛の塊を両手で掴みあげる。
シロとクロ。






「ねこ?」

「ねこだねィ。」

『シロとクロだよ。』






床へ放すと、二人の方へ駆けて行く。まだ好奇心のある時期だしね。
退のほうへ行ったのはシロ。
総悟くんの方へ行ったのはクロ。
退は、シロを指さす。




「こっちがクロ?」

『いや、そっちはシロ。あっちがクロ。』






やっぱ間違えるか。
まぁ私も、最初はシロをクロ、クロをシロ、ってつけようとしたしね。





「逆じゃん。」

『しゃーないじゃん。』

「この前のそわそわは、これだったのかィ。」

『うん、まあね。総悟くん鋭いね!
で、あの時屁怒絽くんにペットショップまで案内してもらったの。』




近き日に、想いを馳せる私。
屁怒絽くん、案外優しい人だったなー。あれ以来、話す機会ないけど……。





「(屁怒絽……)ペットショップからはどうしたの?」

『ん?あ、かやちゃんにきてもらったの。』

「かやちゃんに!?」

『うん、久々だったから嬉しかった!』




そんな会話をしている中、総悟くんは私の部屋から持ってきたジャンプをずっと読んでいた。

そして、お昼ご飯を作って、三人で食べて、トランプしたりゲームしたりして遊んだ後、
総悟くんは帰っていった。
なんか、家でお姉さん待ってるみたい。





『ひまだねー退ー。』

「そうかなー。」




私は退の肩にもたれかかってる。楽だなあ。

退は、私のDSをいじっている。
あれちょ、それ私まだクリアしてないんだけど…!まあセーブしなきゃ大丈夫か…。





『にしても総悟くん、散歩なんてするような人だったんだねー』

「うん。意外だよね。休みの日って、ずっとミツバさんと過ごしていそうな人なのに。」

『ミツバさん?』

「あ、沖田さんのお姉さん。」




ああ、例のお姉さんか。
退にもたれかかりながら、のぼってきたクロとシロをなでる。




「…余裕があったのかな?」

『何の話?』

「……いや、ゲームの話。」

『あ、そ。』






ゲームでなんで余裕があったのかな?
敵のことだろうか、それともHP?
ま、いっか。所詮ゲーム。




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2009/5/25
修正2011/8/17
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