augurio

□描き終えたら一度全体を見直せ
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ピッ。




『はい、総悟くん、ありがとう!助かったよ、ではさらば!』

「昼に焼きそばパン奢りなせェ」

『じゃーねー』

「オイコラ、無視すんじゃねェ」





ごちゃごちゃ言っている彼を華麗にスルーして私は妙ちゃんたちとの落合場所へ行く。
ごめんなさい、総悟くん。
今日お財布も忘れちゃったの☆










そんなこんながあって、体育館裏にて無事合流。




「心配したやろっ!何やってんの、ちゃんと付いて来なあかんやん!!」

『ご…ごめんなさい…』

「よかったわ、事故にあっていなくて。」

『校内での事故って一体何!?』

「とにかく、生きててよかったアル!」

『生死!!』





なんか二人ともすごいむちゃくちゃなこと言ってるけど、心配して…くれたんだなぁ…。
妙ちゃんが体育館の屋根の直ぐ下を指さす。





「私達、あのツバメの巣を入れて、描こうと思ってるんだけど。」

『あ、じゃあ私も。』

「じゃあ決まりアル!」




二人が、スケッチブックを開いたので、私も開いてその場に座った。
流石に立ったまま、長時間描くなんて無理だよ。

そうしてその、数分後。





『こんなもんかな…!』

「あらアヤちゃんおわったの?」

「私もヨ!」

「神楽ちゃんも?じゃあ私もこの辺にしようかしら。」





私と神楽ちゃんが終わって、妙ちゃんも止める。
いいの?と聞くと、細かく買い込んでいただけだというのでそっかとかえす。
私は一度自分の描いた絵全体を見て、ため息を一つ。
私の…芸術性…………





「見せて見せて!」

「私のも見せるアル、だから見せるネ!」

『あー……うん……』




下手だよ、と念を押して絵の描いてある方を二人に見せる。
や、そう見入らないで!恥ずかしい!




「微妙ね……」

「微妙アルな」




やけに真剣な目をして、私の絵を見ていた二人の口から零れたのは、立った一言だった。
…微妙?





『微妙…すか。』

「下手でもなく、上手くも無い…みたいな?」

「誰にも真似できないアルよ。」

「流石山崎君のいとこね…。」

「地味じゃなくて微妙だけどナ。」




褒められてるのか貶されてるのかわからない!
ていうか流石ってなんだ。





『たっ…妙ちゃんはっ!?』




私はちょっと、自分の絵の批評から、話をそらしてみる。
そういえば妙ちゃん、まえに上手すぎる天使(+インストラクター)描いてたな…。





「私のはこんな感じ。」




妙ちゃんは、すっとスケッチブックを見せた。
そこには、目の前の場所がそっくりそのまま、描かれていた。

やばい……うますぎる……




『すっごーい……』

「私のも見るヨ!」




すかさず神楽ちゃんが、スケッチブックを見せてきた。





『こ……個性的だね……』

「……そうね……」

「どういう意味ネ?」

「そのままの意味よ。」




神楽ちゃんのスケッチブックには、どでーんと、燕と巣が大きく描かれている。
実に神楽ちゃんらしい。
口から血が滴っているのが、すごい気になる。









『あ、総悟くん!』




写生会が終わり、トイレに行っていて妙ちゃんたちには先に帰っていてもらっていた私は、総悟くんをみつけて呼び止める。
彼は、いつもの顔をして振り返った。




「おう、アヤじゃねーか。姉さんやチャイナとは、再会できましたかィ?」

『再会て…まぁうん、君の携帯のおかげで。』

「そうですかィ。じゃあ焼きそばパンよろしく。」

『え…あは、は…』




歯切れ悪く答えると、総悟くんはま、いっかと諦めてくれたらしい。
よかった。

ちなみにその後、総悟くんの絵も見せてもらったけど
…うん…



個性的だった。




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2009/6/16
修正2011/8/17
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