augurio

□触れられたくない事だってある
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そっか、みんなそんな感じなんだ。
神楽ちゃんなんてハゲとか言ってるし。

仲、いいんだなぁ。




「と、とにかく食べようじゃないか!!いただきまーす!」




場の空気を変えるように、近藤君が言う。
確かにこんな話いつまでもしたくない、よね。
近藤くんのいただきますに続いて、皆も手をあわせて食べ始める。

私も、今朝学校に来る前にコンビニで買ったメロンパンをぼそぼそと食べ始める。

しばらく皆、口を開かないで食べていると、退が近づいてくる。
お弁当を食べながら。




「ねぇ、なんで今日、おやっさんのお弁当じゃないの?」




退が言うおやっさんとは、私のお父さんのこと。
口の中にまだメロンパンが残っていたので、それを緑茶で流し、口を開く。




『あれ、言ってなかったっけ?私今一人暮らししてんの。』




軽い口調で言うと、ぽかんと口を開けたままかたまる退。
続いて口に含んでいたものを噴出す、妙ちゃんと総悟くん以外の皆。

え、何?





『ここの学校の近くのマンション借りてんの。だからこっち来たんだよ。』

「え、なん…なんで…?」

『退くん、退くん。
この頬を見て、察してくれると嬉しいな。』




自分の頬にある大きな絆創膏を指さしながら

気持ちのこもっていない、からっぽの笑顔。
私のクセ。
退は知ってるから。




「もしかして……」




退の優しい手が、私の左頬の絆創膏に触れる。
と、その瞬間。




「何セクハラしてるネ!!!!」




神楽ちゃんが退に、飛び蹴りを入れ、彼はフェンスの方まで吹っ飛んだ。
てか、フェンスにぶち当たったよね?



『え、ちょ退!?大丈夫ー!?』



返事がない。
駆け寄ろうと考えたけれど、総悟くんに肩を掴まれてた。



「山崎なら大丈夫でさァ」




うん。
大丈夫だって信じよう。





「それよりアヤ流石にウサギはないでさァ。」

『うん、ほんと、もういいよ・・・』





いつまで言われるんだこれ。
ちなみにその後、退は保健室に運ばれていったらしい。
哀れ。


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2009/3/31
修正2011/8/17
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