augurio
□描き終えたら一度全体を見直せ
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小さい頃は、絵を描くことって大好きなことだった。
退とだって、よく描いた。
いつごろかな、描かなくなり始めたのは。
不思議だね。
#7 描き終えたら一度全体を見直せ
今日は全校で写生の日。
こんな行事のある高校珍しいんじゃないかな。
「んー、どこで描きましょう?」
「人の少ないところがいいネ!」
『静かなとこがいいよねー。』
退も一緒に描きたかったな…
けどまた、゛沖田さん゛達と一緒なんだろうなー…。
簡単に予想が付く。
『てアレ、妙ちゃん神楽ちゃん!?』
ほんのちょっとよそ見してただけで、周りに知り合いがいなくなっていた。
え、迷子?いやいやそんな校内で迷子とか!
流石にそんな経験は…あ、一回あったな…。
けど、グランドでは…ないよね。
ただ友達見失っただけ…
もう一度、回りを見回してみる。
妙ちゃん達は勿論、知り合いは一人もいない。
なんか………心細い、な。
知らない人、知らない声。
飲み込まれそうで、なんだか怖くて耳を塞いで、しゃがみ込んだ。
と、その時だった。
「何やってんでィ。」
『そ、うご…くん…』
「俺ァうごくんじゃねーでさァ。」
見知った声に顔を上げると、えらそうに私を見下ろしていたのは、総悟くんだった。
突然の登場に安堵して、なんか泣きそうになったけど、必死に堪える。
そして、誤魔化すように立ち上がった。
『た、妙ちゃん達とはぐれちゃって……』
「迷子ですかィ」
『うっ、』
迷子、その言葉は石となって、私の背に重くのしかかる。
は、恥ずかしい!!!
「本物の方向音痴ですねィ」
『いや、今回はぼーっとしてたって言うか…』
「携帯で連絡すりゃあいいだろィ。」
『携帯家に忘れちゃって…』
「タイミングの悪い奴ですねィ」
『ですね。』
本当に間の悪い。
そして私の方向音痴発揮も間が悪い。
助けてください総悟くん。
「ま、頑張ってくだせぇ。」
『え、ちょ、まってぇぇえええ!!!!』
希望の光は君しかいないの、総悟くん!
つまりね、つまりはね…
「何でィ」
『け、携帯かして?』