augurio
□第一印象って大抵良いのが多い
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あれから、優雅な雰囲気を漂わせ、紅茶に口をつけているミツバさんと共に、私たちはティータイムを楽しんでいた。
時折静寂が空間を包んだけれど、その沈黙さが妙に心地よかった。
ミツバさんはにこにこと口元に弧を描きながら、自身や総悟くんの事について語ってくれる。
主に昔話。
「アヤちゃん、お昼…食べていく?」
『あ、はい是非っ!』
それを最後にして、ティータイムは終了。
気づけば12時5分を過ぎていた。
お菓子には手をつけてなかったから、お腹はまだ空いているほう。
『ミツバさん…素敵だねぇ…』
「そうだろィ?」
『今のお姉ちゃんも好きだけど、あんなお姉ちゃんもほしかったなぁ…』
「………」
そんな会話を繰り広げていると、ミツバさんが炒飯を作り上げたらしい。
炒飯のにおいがする。
ミツバさんは小さく笑いながら、最後のトッピングみたいなことをしてるみたい。
可愛らしい、と素直に思える。
そうして、お盆に載せられたお皿は、テーブルの上に置かれた。
………って、あれ?
『なにこれ、まっか…?』
運ばれていたのは、先ほどの炒飯の匂いとは打って変わって、鼻孔をツンと突き刺すもの。
なにこの赤い物体。
『………唐辛子?』
私の知る限り、この調味料しか考えられない。
「ピンポーン、正解でさァ。」
『いや、いやいやいや!ピンポーンじゃなくって!
なにこれ、まさかの土方さん状況!?』
「姉上と土方を一緒にするんじゃねぇよ。」
『そうじゃなくて!!』
出されたものに色々言っている私を見て、ミツバさんはキョトンと可愛らしく首を傾けている。
無言の口から“たべないの?”という純粋な圧力がかかってくる。