augurio

□第一印象って大抵良いのが多い
1ページ/4ページ





あれから、優雅な雰囲気を漂わせ、紅茶に口をつけているミツバさんと共に、私たちはティータイムを楽しんでいた。
時折静寂が空間を包んだけれど、その沈黙さが妙に心地よかった。

ミツバさんはにこにこと口元に弧を描きながら、自身や総悟くんの事について語ってくれる。
主に昔話。





「アヤちゃん、お昼…食べていく?」

『あ、はい是非っ!』



それを最後にして、ティータイムは終了。
気づけば12時5分を過ぎていた。
お菓子には手をつけてなかったから、お腹はまだ空いているほう。






『ミツバさん…素敵だねぇ…』

「そうだろィ?」

『今のお姉ちゃんも好きだけど、あんなお姉ちゃんもほしかったなぁ…』

「………」



そんな会話を繰り広げていると、ミツバさんが炒飯を作り上げたらしい。
炒飯のにおいがする。
ミツバさんは小さく笑いながら、最後のトッピングみたいなことをしてるみたい。
可愛らしい、と素直に思える。

そうして、お盆に載せられたお皿は、テーブルの上に置かれた。
………って、あれ?




『なにこれ、まっか…?』


運ばれていたのは、先ほどの炒飯の匂いとは打って変わって、鼻孔をツンと突き刺すもの。
なにこの赤い物体。



『………唐辛子?』



私の知る限り、この調味料しか考えられない。






「ピンポーン、正解でさァ。」

『いや、いやいやいや!ピンポーンじゃなくって!
なにこれ、まさかの土方さん状況!?』

「姉上と土方を一緒にするんじゃねぇよ。」

『そうじゃなくて!!』



出されたものに色々言っている私を見て、ミツバさんはキョトンと可愛らしく首を傾けている。
無言の口から“たべないの?”という純粋な圧力がかかってくる。







次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ