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□方向音痴は頭が悪い
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お家の都合で転校しました。






#1 方向音痴は頭が悪い




『はぁ―――』



ここかぁ、銀魂高校。

ここらを歩いている通行の方々に聞き込みして、ようやっと辿り着いた。

にしても変わった名前だなぁ。
一文字間違えると危険なところに入るな。

でも、なんだか新鮮な感じ!
よぉーし、職員室目指して



『しゅっぱーつ!』




軽い足取りで私は歩き出した



……のはよかったのだが。





『うっそん迷った。』





あれ?私って方向音痴だっけ。

いやそんなことない。
きっとこの学校の内部が複雑なだけなんだ。
あれーんヤバいなー。
さっきチャイム鳴ってたよ。




「おいお前!」

『はい?』




知らない声に返事をし、そちらを向くとそこには美少年が立っていた。
亜麻色の髪と、蘇芳色の瞳。

少し見とれてたら、再び声を掛けられる。




「お前、見ない顔ですねィ。」


え、江戸っ子口調?
今時こんな人いるんだ…しかし顔がいいと口調が多少おかしくても全然かっこいいな…。



『あ、はい。転入生です。』

「へぇ……」




無関心そうな返事に、少し寂しさを覚える。
まあ…知らない人だしいいか。
あ、そうだこの人に聞いちゃおう。



『あの、つかぬ事をお伺いしますが、職員室って何処ですか?』




そう聞くと、きょとんと不思議そうな顔をした男の子。
あれ、なんか私変なこと聞いただろうか。




「職員室って…てめぇの目の前…」

『え?』




言われて初めて上を向くと、そこには職員室と書かれたプレート。

あらほんと。
ここが職員室前だなんて。
え、待ってすごい恥ずかしいじゃん!!!
穴!穴があったら入りたい!!!




『あー…どうも、すいません。今のはなかったと言う方向で。』




ひとまず何でもないふりをして、彼に詫びを入れる。
承諾してくれたかどうかは、解らないけれど。

そうして職員室の扉をガラッと開けたとたん、誰かにぶつかった。



『わっ、すいませ…』



と見上げると、白いパーマ頭と死んだ目男の人。
それと、教師が吸って良いのか、タバコ。
で白衣。

………理科の先生?




「あれ、もしかして転入生?」





少しばかり目を輝かせて、その人は言う。
返事を返す代わりに、コクコクと幾度か頷いてみせる。





「よっしゃぁ!結構可愛い!!しかも結構真面目そう!!俺ラッキー!!!」




え、え?
いや真面目か真面目じゃないかと聞かれれば、真面目でありたいが決して可愛くはないんですが…。




「あ、俺君の担任ね、担当国語ね。」




え、あ、担任?え、国語ですか?
り、理科じゃなくて?なんで白衣着てるの?

白衣の国語先生は、私を見つめ続ける。
その視線の意図が解り、私は口を開いた。




『え、あ…あぁ井堀彩美です。』

「あーはいはいアヤちゃんね。」

『えっと、はい。』





いきなりあだ名ですか…フレンドリーな人かな。





「ってあれ?総一郎君、こんなところで何してんの?」






先生が声をかけたのは、私の後ろに居たあの美少年。

そういちろう君、かあ長いな、六文字…




「総悟でさァ。そんで俺、今日日直なんでィ。日誌とりにきやした。」





そうご?あれ、名前違うの?





「あー今日はいいよ。教室かえんなさい。」

「わかりやした。」




シッシッと追っ払うように言う先生に、彼は素直に納得。
え、いいんだ。




「さて、行くかねアヤちゃん。
あ、俺銀八。坂田銀八ね。
坂田先生とか呼ばないでね。
普通に銀ちゃんとか、銀さんとかで良いから。かったいの苦手なんだよ。」




に、苦手って…!
それでいいのか教師!
まあ…えっと…銀さんでいいのだろうか?




「えっと、君のクラスは3zね、3年Z組。」

『ずぃー組って…Z組ですか!?えっと…Zだから…26クラス!?』




ぎ…仰天!!!!
すごい多いじゃない!
何人いるんだろう…そんなマンモス高だったなんて…。




「いやいや、そうゆーわけじゃなくて、A,B,C,D,E,F,Zだから。」

『ええ、なんでそんな飛んでるんですか!?』

「さあな、あのババアの考えることは知らねーな。」

『はぁ。』

「まぁ取り敢えず教室行くか。」

『あ、はい。』



先生が背を向け、すたすたと歩き出す。
取り敢えず教室に行くことと、なりました。



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2009/3/10修正2011/8/16
 

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