物語
□incomplete Love:04
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あの後、駆けつけた警察官に男を引き渡し、証拠品として電話機の留守番電話の記録を持っていかれた。
奏出矢さんがいたおかげで、事情聴取などもスムーズに終了。
あんな真面目な奏出矢さんを見たのは初めてで、少し驚いた。
やっぱり刑事なんだなぁと思う。
そして今は私の部屋で、私の目の前でおいしそうにおでんを食べている。
もう電車ありませんしね。
それにしても、こののほほんとした雰囲気は、さっきの人と本当に同一人物なんだろうか。
「ん?どうしたの、楓ちゃん。俺の顔に何かついてる?」
「いえ、特に」
「あっ、もしかして俺のかっこよさに惚れちゃったとか!?」
「まったく。欠片も」
「あの、もうちょっと言い方ありませんかね?」
「ありませんね」
「……たまご食べる?」
「いただきます」
奏出矢さんからたまごを貰って口に運ぶ。
奏出矢さんは何故か落ち込んでるけど。
あっ、おいしい。
やっぱり温めなおしてよかったな。
「それにしてもストーカーなんて、楓ちゃんも災難だったね」
「本当です、まさか奏出矢さんを泊めたから悪化したなんて…。疫病神ですか」
「ははっ、ごめんごめん。まぁ、楓ちゃん可愛いから、ストーカーされちゃうのも頷けるね」
奏出矢さんの言葉に、たまたま飲んでいたお茶を噴出しそうになった。
いきなり、何を言い出すんだこの人は。
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