小話

□高校生0×大学生1
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「美味しい?」
「目茶苦茶美味い。毎日食べたいくらい」
「それは飽きるよ」

そう言いつつ嬉しそうに顔を赤らめるいーたんが可愛くて思わず抱きしめたくなった。
いーたんは自分が思っているよりは表情豊かだと思う。少なくとも俺には分かる。戯言だけど。

「あ、人識、口の横にグラタン付いてる」
「え、どこ?」
「ちょっとじっとしてて」

そう言うと、いーたんは俺の口をおしぼりで拭いた。
顔が近い…!

「……ありがと」
「うん」

いーたんは何事もなかったように自分の皿を片付け始めた。
食事において王道のイベントではあるが、ここまで破壊力があるものかと俺は今更ながら感動する。

ああ、今すぐ押し倒してしまいたい、と思いつつ、襲うのはせめて食べ終わった後だ…と俺は意識をグラタンに移す。

おかわりも食べ終わると、俺はいーたんを抱きしめた。

「んー…いーたん」
「何?どした?」
「グラタン美味かった」
「それはよかった」
「いーたん好きだー」
「……僕も」
「好き。すげー好き。愛してる」
「……うん」
「いーたん何かいい匂いするな」
「……何?酔ってるの?」
「酔ってないよ。本気」
「本当に?」

無垢な目で俺の目を覗き込むいーたん。
やばい。
俺は舌を絡めるようにキスをした。

「ん、んん…は、んん……っ」
「…………ん」
「ふあ、はぁ……っ」

透明な糸と荒い息が、唇から紡ぎ出される。

「かはは、ごちそうさま」
「は…ぁ…いきなり何すんだよ…」
「そういやいーたんとディープキスするのは初めてだな」
「そ、そうだけど、そうじゃなくて、ん…っ」

再び唇を塞ぐ。
腰や背中を撫でたり、顔の角度を変えたり。
真っ赤な顔が色っぽくて、俺はますます興奮する。
俺は何度もキスをしながらゆっくりといーたんを押し倒した。

「や…あ、ちょ…待って…」
「あ、悪い…シャワー浴びる?ってここシャワー無いんだったな」
「な、何するの……?」

いーたんは戸惑った顔で俺を見ていた。
ここで俺はある可能性を思い出す。
……いや待て。まさかまさか。
だっていーたん、あなた年上ですよね?

「いーたん。質問ターイム」
「えぇ?」
「何で今日はエプロンなんだ?」
「昨日たまたま友達から貰ったから…」
「何だそりゃ。どんな友達だよ……まぁいいや。グラタンを作ったのは何故?」
「何故って、人識前好きだって言ってたから…」
「お泊り会しようっていうのは?」
「夕食後だと帰るの億劫かなって」
「…………」
「そ、それがどうかした…?」


…………。
妄想乙。と笑う悪魔が見えた気がした。

「いーたん。すげー今更で聞くのも申し訳ないんだけどさ…童貞?」
「あうっ」

真っ赤になった。
ファーストキスが俺だという時点でそれはほぼ確定していたけれど、
こういう状況かつ雰囲気になってもそんな反応をされるとは思わなかった。

「恋人家に入れて泊まらせて、こういう事されるかもって……思わなかったんだ?」

軽く服に手を入れる。
ぴくっと身体が揺れた。
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