小話

□高校生0×大学生1
2ページ/8ページ

(ひたすらえっちする話。人識がきもい)


いーたんは料理が上手い、と思う。
いやもちろん、好きだからそう思うだけで実際にはそんなに特別上手いって訳でもないのかも知れないが
俺にとっては何より美味いご馳走なのだ。
今日は学食だったから少し物足りなかった。
そう言ったら、
「じゃ、夕食も食べていけば?」
という流れで、何故かそのままお泊り会をする事になった。

…………。
………………いや、うん。
恋人の家の泊りからあれこれを想像してしまうのは思春期の性として許して欲しい。

ほぼ毎日のように遊びに来てはいたが、泊まる事になったのは始めてで、俺は柄にもなく緊張していた。
駄目だ、こんなに緊張したのはいーたんに告白された時以来だ…。
どうも俺は誘い受け的な状況に弱いらしい。
ん?そういえば俺がタチでいいよな?いいんだよな?

なんて事を考えていたら、エプロンを付けたいーたんが夕食のグラタンを持ってやって来た。
つい目を奪われる。

「……何?」
「いや、何でもない」

いつもエプロンなんかしてないくせに!と心の内でツッコミ。
エプロン自体のデザインは黄緑と白のボーダーで、ちょっと可愛らしいとはいえそんなに色っぽいものではない。
しかしここでは、エプロンを付けるという行為そのものが重要なのである。
エプロンを付ける事によって、ただの普段着が、恋人もしくは新妻という料理専用スタイルに変化するのだ。またそれに付随して、火傷や切り傷、極めつけには玉葱のみじん切りによる涙目など、様々なアクシデントによる新たな一面を見る事ができる場合もある。これを萌えといわずして何と言う!!

……兄貴がエプロンについて語っていた時は何だこの変態うぜぇ失せろもしくは枯れろまたは溶けろ、なんて思っていたが、このいーたんの姿を目の当たりにしたらそんな事も言えなくなってしまった。

そういえばグラタンというメニューも、いつもより手が込んでいる。
いつもだって美味しいのだが、焼きそばだとかうどんだとかチャーハンだとか、お手軽なものばかりだった。

こ、これは…深読みすべきか?

ご飯とサラダを運ぶのを手伝いながら、横目でいーたんを盗み見る。
服は半袖のTシャツにグレーのズボン。とどめにエプロン。
エプロン以外はいつもの服だが、心なしか脱がしやすく配慮したコーディネートにも見える。
いや、泊まる事は今日決まったんだ。朝からそんな事を考えて服を着る訳ないだろうと思いつつも、
つい細い首筋や腰に目がいってしまう。
いや、むしろ泊まる事を見越しての学食だったのか…?
俺はグラタンに目を移す。
とても美味しそうだった。

「じゃ、いただきます」
「…いただきます」
「足りなかったらおかわりあるから」
「おう」

絶対おかわりする、と心に決めて俺はグラタンを頬張る。
いつもよりも美味く感じたのは気のせいではないだろう。



(続く)
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ